英語の歌を使った英語授業の実践
1.はじめに(曲の選択:どんな曲をなぜ)
時代を反映し、年々新しく生まれ続ける歌の数は無限であるが、「いい曲は時代 を超えて、残り続ける」と言われるように、いい曲は生徒に様々な感銘を与える。
それらの曲を選択し、授業で生徒に聞かせ、歌わせたりすることは、英語学習に色 々な面で効果がある。
無限にある曲の中から、生徒に聴かす曲を選択するのは容易なことではないが、
次の「フィルター」で、収集を行っている。
①歌詞の中に必ず、"Target "(文法、基本文、語句)の繰り返しがある。
②生徒に馴染みがある(映画やTVのCMやドラマで使われた曲)
③生徒の印象に残りやすく、ふとそのメロディーが口をつく
④世相や時代を反映した時事問題としての曲(反戦歌等)
⑤季節・行事にマッチした曲
授業開き→You've got a friend、If we hold on together,
活力鼓舞→Walking Proud 季節→Good by Yellow Brick Road
2.授業での実践
) 現在完了(経験) I've Never Been To Me「愛はかげろうのように」 Charlene(シャーリーン) 1982
訳:西尾紀子
1 Hey lady, you lady
世の中には、人生に不満のある女性が
2 cursin' at your life
たくさんいるでしょう。
3 You're a discontented mother
それは、子供に手を焼く母親であったり、
4 And a regimented wife
夫を持てあます妻かもしれない。
5 I've no doubt you dream about
そんな人達はきっと、手の届かない
6 The things you'll never do
バラ色の生活を夢見ているのでしょう。
7 But I wish someone had of talked to me
でもね、ちょっと考えてみてね。
8 Like I wanna talk to you
私がこれからお話することを。
9 Woo I've been to Georgia and California
私、ジョージアもカルフォルニアも
10 And anywhere I could run
心休まる所を求めて色々な所に行ったわ。
11 Took the hand of a preacher man
心優しい男性と出会って、
12 And we made love in the sun
恋をしたこともあったわ。 だけど、
13 But I ran out of places and friendly faces
恋しい土地や人々を後にして去って行くの
14 Because I had to be free
何故って、いつも自由でいたかったら。
15 I've been to paradise
幸福を味わってみても、結局、私には
16 But I've never been to me自分ってものがつかめないんですもの。 パナソニックのデジタルビデオカメラのCMにも使われ、最近、小柳ゆきが カバーしている曲。流れるようなメロディーは、多くの生徒が耳にしている。 歌詞の内容は、この曲を歌ったCharleneの人生のように響く。been to ~が何度 も登場し、neverとの対比もでき、現在完了の指導には打って付けの曲。
2) It is ~(for ○○) to~
このLesson8 Part2を行うにあたって、一体どのような指導方法が有益か、私は以下のように考えた。
(A)まず初めに、今回行う課で学ぶ新しい単元について、生徒に緊張感を与えないよう、しかし、より興味を引かせるように、易しい英語で導入をする。この時、この課で登場してくる人物は誰か、またその人物関係、新しく学ぶ文法事項はどのようなものか、など簡単に説明する。また、この時、ピクチャーカードなどがあれば、それを見せながら人物確認などできるとなおよい。
(B)英語のテープを聴かせる。(ちなみにこの時はまだ教科書は開かない。)しかしその前に、流れてくる内容(今回の課の内容)の下記のような、注意して聴くべき点について、英語であらかじめ確認する。英語で物事を考えようとする第一歩である。少しでも生徒達に、英会話の聞き取りをしやすく、理解しやすくするための方法である。ここでチェックしておくべき読み取りポイントは、この課の場合、
?What time does Mike’s father usually get home?
マイクのお父さんは普通何時に帰宅するか。
?What does Ken’s father often do?
ケンのお父さんはたびたび何をするか。
?How does Mike says about Japanese people?
マイクは、日本人はどのようである、と言っているか。
などである。この場合、この単元で初めて出てくる英語で質問を問いかけるのはまだ難しいため、英語→日本語→英語の順に説明するとよい。
(C)教科書は開かないまま、テープを2回聴く。聴き終わったあと、生徒の反応はどのようであったか、状況を判断しておく。
(D)フラッシュカードを使って、新出単語の確認をする。表に英語、裏に日本語を書いたカードを、交互交互に見せながら発音させ、単語を暗記させる。この時、単語の上に、アクセント記号を書いておくと、どこにアクセントをつけるべきであるか、わかりやすく、よい。