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ゲルマン語派、古英語における屈折の弱変化
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英語史レポート
ゲルマン語派・古英語おける屈折辞の弱変化(簡略化)
□はじめに‐インド・ヨーロッパ語族分化の際に起きた屈折性の単純化‐
インド・ヨーロッパ語族(PIE)からゲルマン語派へと分化された際、子音・母音・アクセント位置の変化など様々な変化が生じた。その中のひとつとして屈折辞の単純化(消失)もあげられる。PIEは屈折が非常に豊かであり、人称/数・法・時制・相・態などの文法特性を表すため様々な語形変化をするのが特徴であった。しかし、ゲルマン語派への分化、さらに古英語へと分化していく過程で様々な影響を受け、そのような屈折は簡略化されていった。このレポートでは、そういった屈折性の単純化はどういった経緯で生じたのか、動詞・形容詞・名詞に焦点を当てみていく。
1.ゲルマン語派における動詞の弱変化
先に述べたように、PIEは屈折が非常に豊かなことが特徴であった。そのため、時制体系も複雑であり、動詞の語尾につく屈折辞が様々な形に変化することによって、それぞれの語が「現在・過去・未来」などの時制を表していた。しかし、ゲルマン語派へと分化されると、動詞の時制体系は簡単になり、時制を表す屈折辞が単純化を起こした。
(1)「未来」を表す屈折辞の消失
PIEにおいては動詞の語尾に未来を表す屈折辞をつけ未来を表していたが、ゲルマン語派においては、未来表現は屈折によるものではなくなった。つまり、未来を表す屈折辞は消失し、未来を表すためには助動詞が使われるなど、 別の方法がとられるようになったのだ。
※ゲルマン語派に属する言語における未来表現の例
英語:未来を表す助動詞”will”, ”shall”+動詞の原型
ドイツ語:未来を表す助動詞”warden”+不定形
オランダ語:未来を表す助動詞”zullen”+動詞の不定形
(2)「過去」を表す屈折辞の単純化
PIEにおいては主語の人称/数によって過去を表す動詞の屈折辞も様々な語形変化を起こしていたが、ゲルマン語派においては基本的に/t/,/d/系の接辞がつけられるようになるなど、屈折辞が単純化された。
※現代英語の過去表現における屈折の例
弱変化動詞(規則動詞):-edをつける。/d/、/t/、/Id/
e.g.)walk-walked-walked
love-loved-loved など
cf.強変化動詞(不規則動詞):語幹の母音を変化させることで時制屈折をおこす。
e.g.)sing-sang-sung
ring-rang-rung など
<ゲルマン語派における動詞の弱変化をまとめ>
①本来PIEは動詞の語形変化で様々な時制が表現できたが、ゲルマン語派では未来形の屈折辞が消失し、屈折による時制表現は現在形と過去形のみとなった。
②過去を表す屈折辞は様々なものから、基本的に/t/や/d/系の接辞をつける弱変化動詞(主に規則動詞)が主流となった。
2.ゲルマン語派における形容詞の弱変化
PIEにおいては、比較や最上級を表すためや、被修飾語句(名詞)の格・数・性によって、形容詞の語尾にはそれぞれの屈折辞がつき、形容詞も動詞同様、様々な語形変化をしていた。しかし、ゲルマン語派ではそういった屈折も、ある条件下においてのみ簡略化されるようになった。
【ゲルマン語派における形容詞の屈折の簡略化の条件】
・形容詞の限定用法である
・形容詞の前に指示詞または名詞の属格形がある
この2つの条件がそろったときのみ簡略化を起こし、語尾にくる接辞は”-(a)n”と一定化され、今まで必要とされていた細やかな一致は
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