資料:130件
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行政法・行政裁量についての考察〜最判平成8年3月8日判決を素材として
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1.事案の概要と裁判所の判断
Xが通う公立高専においては剣道が必須科目とされていた、Xは「戦いを学ばず」という教えのあるエホバの証人の信者であったため、格技たる剣道には参加できないとして、代替措置を求めたところ、学校側はそれを認めなかった。そして、Xは単位不十分のため退学処分となったため、Xは原級留置処分と退学処分の取消訴訟をそれぞれ提起した。各一審ではいずれもXの請求を棄却したが、原審ではこれらを併合審理し、各処分を裁量権の逸脱と認めて、Xの請求を認容した。これに対して校長が上告したが、上告審は、校長は代替措置の検討・導入が不可能でもないのに、退学処分をなし、Xに著しい不利益を与えているとして、原審の判断を支持し、上告を棄却した。
2.退学処分・原級留置処分の処分性
まず、退学処分については、市民としての公の教育施設の利用関係から私人たる学生を排除するものであるから、処分性があるといえ、司法審査の対象となる。
次に、原級留置処分については、学校側の教育的裁量判断に基づく教育上の措置として学校内部の問題にとどまり、処分性はないように思われる。
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行政法からみる国家賠償と損失補償の谷間の問題
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従来、国家賠償と損失補償の谷間の問題としては、適法行為による 財産権以外の侵害という事案が問題とされていた。例えば、子どもの予防接種で「禁忌者」に予防注射をしたために、その子どもが死亡したという場合である。つまり、憲法29条3項は適法行為による「財産権」の侵害であったために、「生命身体」の侵害では対応できないし、医師は正当業務行為として注射をしたのであるから、「違法行為」ということはできず、国家賠償請求の要件も満たさないのでどうすべきかという問題である。
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設題5 生活保護法の行政不服審査制度について
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「生活保護法の行政不服審査制度について」
保護の実施機関によって国民の生活保護を受ける権利が侵害された場合、その現に行われた処分を排除して、その国民を救済する仕組みが採られています。この仕組みを行政争訟といい、その種類として、不服申立て制度と訴訟制度との2つがあります。不服申立ては、保護の実施機関などの行政機関に不服を申し立てる制度であるのに対して、訴訟は、裁判所に訴えを提起する制度である。
不服申立て制度は、行政不服審査法、訴訟制度は、行政事件訴訟法に定められています。
現在の生活保護法は、日本国憲法 第25条の生存権理念に基づき、国民の保護受給権を保障する一方、保護が正当の理由なく行わ
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生活保護法
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補助機関
協力機関
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行政不服審査法現行・改正法案の比較検討
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行政不服審査法現行・改正法案の比較検討
Ⅰ.現行行政不服審査法の問題点
制度の複雑さと手続保障の低さ
行政不服審査法(以下、行服法という)は、その制度が複雑かつ難解であり、特別法や適用除外も多く、行服法は市民にとって利用しやすいものではなかった。制度の不備や不明に基づくリスクは申立人に帰することが多く、手続保障も低い。また、審査請求中心主義についてもその合理性が疑われていた。
2.申立期間及び審理期間
行服法の申立期間は処分があったことを知った日の翌日から60日以内にしなければならない(14Ⅰ)が、これは短いという批判があった。また、行政不服審査の運用状況を見ると、審査請求の処理期間についてその大半は3か月を経過しており、しかも認容率は決して高いとは言えないのが現状である。簡易迅速に権利救済を図るという行服法の目的は実現されていなかった。
3.公正性の低さ
従来の行政不服制度は、客観的かつ公正な審理がなされているとは言い難かった。とくに異議申立ての場合は、不服審査手続きの一方当事者である処分庁が審理を行うものとされ(3Ⅱ)、弁明書・反論書の提出や処分庁からの物件の提出・閲覧が規定
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行政
問題
改正
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制度
権利
義務
訴訟
利益
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行政法?課題(慶應義塾大学E系列磯部君)
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設問1.
Aは、一級河川に指定されているE川に漁業権を有し、漁業を営む者であるが、最近、E川上流に立地する製紙工場群から流出するヘドロによって漁業に壊滅的な打撃を受けた。この場合、
(イ) Aは、県知事が製糸工場に対し水質汚濁防止法による規制権限を適切に行使しなかったことを理由として、県に対し国賠法一条により損害賠償を請求できるか。
(ロ) また、ヘドロの流入によって河川が物的瑕疵をもつにいたったとして、河川管理者たる国土交通大臣の属する国に対し、国賠法二条により損害賠償を求めることができるか。(原田309頁)
- (イ)について
Aは、県知事が製紙工場に対し水質汚濁防止法による規制権限を適切に行使しなかったことを理由として、県に対して国家賠償法1条に基づき、損賠賠償請求をなし得るか。国家賠償法1条の要件事実を一つ一つ検討する。
まず、県知事は「国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員」に当たるか。県知事は、特別職地方公務員であり、「公務員」には該当する。以下、本問の行為が「公権力の行使」と言えるかを考える。
そもそも、国家賠償法1条は憲法17条を受け、違法な行政活動が行われた結果、国と公共団体(以下、「国」)は広く国民に生じた損害を賠償する責任があることを規定した条文である。とすれば、本条の「公権力の行使」とは、国の一方的判断で行う権力的作用に限らず、国が国民と対等の立場で行う非権力的作用も含め、公益的な行政作用の全てを指すと解する。
しかし、水質汚濁防止法により規制権限を適切に行使しなかったことは、行政の不作為である。国家賠償法1条は公権力の「行使」の際に国民に損害を与えた場合は、国は賠償責任を負うとするが、規制権限の不行使について国は賠償責任を負うのだろうか。
規制権限の不行使について以前は、行政庁の裁量権を理由に、国には損害賠償責任が生じる余地がないと考えられていた。
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