連関資料 :: 集会の自由

資料:2件

  • 集会自由に関する判例の比較
  • 集会の自由に関する判例の比較 1.上尾市福祉会館事件判決の事実の概要  上尾市福祉会館は、市民の文化的向上と福祉の増進を図るために設けた施設で、1階には大ホールのほか、展示場、食堂、ラウンジ及び会館事務所が、2階及び3階には4つの披露宴室(会議室兼用)と結婚式場、写真室、着付室、結婚控室等の結婚式関係の施設が、5階には小ホールと4つの会議室が設けられており、大ホールと2階以上の施設とは出入口をことにしている。なお、斎場として利用するための特別の施設はない。  本件会館の設置及び管理については条例が定められ、その5条によれば、使用にはあらかじめ市長の許可を受けるべきものとされ、その許可条件を定める6条1項によると、(1)会館の管理上支障が認められるとき(1号)、(2)公共の福祉を阻害するおそれがあると認められるとき(2号)、その他会館の設置目的に反すると認められるとき(3号)のいずれか1つに該当する場合は、市長は、会館の使用を許可しないものとされている。  上告人は、いわゆるJR関係の労働者で組織する東日本旅客鉄道労働組合等の単位組合の連合体であるが、総務部長が帰宅途中で殺害されたため、同人を追悼するための合同葬を計画し、本件会館の大ホールの許可を申請したところ、殺人事件に対して捜査当局が、いわゆる内ゲバ事件とみて捜査を進めている旨報じている新聞記事を受けて、「そのような事柄での葬儀を執り行うことに本件会館は貸せない」、「合同葬は会館の使用にそぐわない」として条例6条1項1号に該当することを理由に、申請を許可できないとした。 2.判旨(泉佐野市民会館事件判決との比較) (1)本件で問題となったのは、集会の自由の制限である。集会とは、特定または不特定の多数人が一定の場所において共同の目的をもって事実上集まる一時的な集合体をいう。集会の自由は現代社会においては巨大なマスコミが一方的に情報を伝達しており、国民が自ら意見を表明し、他者と意見を交換し、自己の思想を形成するにあたって、もっとも有効かつほとんど唯一の手段といえ、表現の自由の1つとして重要な意義を有する。  集会の自由の保障は、その目的・場所・公開性の有無・方法・時間などの如何を問わず、集会を主催し、指導しまたは集会に参加するなどの行為につき、公権力が制限を加えることが禁止され、またはそのような行為を公権力によって強制されないこと(消極的集会の自由)を意味する。これを受けて、地方自治法244条は、「公の施設」について、「正当な理由がない限り」住民に利用を拒否してはならないとし、また「不当な差別的取扱い」を禁止している。 (2)しかし、集会の自由は、言論・出版の場合と異なり、道路・公園などの利用という公衆の社会生活上不可欠の要請と衝突し、あるいは集会の競合による混乱発生の可能性をはらんでおり、人権相互の調整という内在的制約を受けることは否定できない。この場合、制限の合憲性判定基準については争いがある。 ①この点、学説においては、二重の基準論から、管理目的からの規制は許容されるが、その規制は集会の自由を不当に侵害しないような明確な基準の下に必要最小限のものにとどまらなければならないとして、内容中立規制ならばLRAの基準を、内容規制であれば明白かつ現在の危険の法理を用いるべきとされている。 ②しかし、判例においては、利益衡量論にたちつつ、厳格な利益衡量を要求すべきとする立場がとられている。 (a)本判決以前の泉佐野市民会館事件判決においては、「集会の用に供される公共施設の管理者は、当該公共施設の種類に応
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