資料:14件
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卒論 人の終期と脳死 本文 参考文献
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【目次】
一 序論
二 本論
(1)死の定義
(2)心肺死説,総合判定説
(3)脳死概念の登場
(4)各説の主張
(5)脳死と臓器移植
(6)考察
三 結論
一 序論
人は,死亡することによって,「多様な法的利益の享受主体」1 としての地位を失うこ
とになるが,わが国では,人の終期について明確な規定がなされた法律は存在せず,ま
た,これを明示的に定義した判例も見当たらない2 。そのため人の死亡については,関係
する分野ごとにその議論が存在してきた。
例えば民法上においては,人の「死亡」は婚姻解消の原因になり(民法728条2
項),また,人は死亡により権利能力が消滅し,その人に帰属した権利義務のすべては相
続人に相続される(民法882条)。この他,その人に帰属しなければ意味のない一身専
属権は,その人の死亡により完全に消滅する(民法896条但書)。一方,刑法上では,
人は「死亡」によって,生命・身体に対する犯罪行為から保護される利益の享受主体(あ
るいは,生命・身体に対する罪の客体)としての地位を失うことになる。つまり生命は重
要な法益とされ,生きている人は殺人罪(刑法199条)・傷害罪(刑法204条)をは
じめとする各種犯罪の客体(被害者)となり,また,それら犯罪の行為者に対しては重罰
が課されることから,結果として人は,法によって厚く保護されているといえるが,死亡
すれば,生きている人を保護する目的で規定された犯罪の客体となる地位を失い,その肉
体は「死体」として扱われることになる。
このように人の終期については,従来から,犯罪の加害者の側から見て,「人は死亡す
ればもはや人ではなく,これに対する侵害行為は,死体損壊・遺棄罪(刑法190条。未
遂も過失もともに不処罰である。)は別として,殺人罪を構成しないから(ただし,死体
に対する侵害行為であっても,不能犯学説いかんによって,殺人未遂の成立する場合があ
る。)」3 ,「人がいつ死亡したといえるかは刑法にとっても重大な関心ごと」4 とされ
てきた。 つまり,刑法上,人の終期については,どの時点で死亡したかによって犯罪行
為者に対する処罰が大きく異なることになる5 。
然るに,「人の死」というのは,何よりも人の身体に生ずる現象であることから,その
理解にあたっては,まず医学的,生物学的知見に基づくのが自然と考えられ,従来から人
の死亡についての判断は,医師の裁量に委ねられてきた。この考え方からすれば,人が死
亡しているかどうかを判断するのは医学の専権事項であるから,その医学が人の死を判断
すれば,同時に法的・社会的にもそれを人の死として認められると考えられなくもない
(医学追認説)。しかし,「法律家の役割は,人々にある考え方を教えることではなく,
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『普通の』人々の考えに従って法律をつくり,法律を
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民法
刑法
社会
法律
法学
問題
医学
生物
犯罪
生命
臓器移植法
脳死説
全脳死
脳幹死
大脳死
心肺死
心臓死
相対
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いくつかの国の脳死判定基準の内容とその比較検討
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いくつかの国の「脳死の判定基準」は現在において、国によって機関によって異なり、また「不可逆性を決定する再検査までの時間」に対する対応も一定ではない。これはひとえに、医学的にも生物学的にも未知の領域が残されている『脳死』を前に、その死は判定はなく解釈に過ぎないとの結果ではないか、と考えるものである。
まずいくつかの国が共通して判定基準としている項目は、(深昏睡・無呼吸・瞳孔散大・脳幹反射消失)の4項目である。心臓死の判定基準として一般的に広く認められている三兆候説のうちの2つである無呼吸・瞳孔散大に加えて、顔面に疼痛刺激を与えて反応の有無を確かめる深昏睡、そして体中の生体活動を統合する機能を持つ脳幹の反射消失が、共通して必須判定となっている。
ここで注目したい点は、呼吸中枢も瞳孔の中枢も脳幹にあることから、脳幹機能の重要性、ひいては脳死判定において脳幹の生死を重視している点である。実際、イギリスは脳幹の死をもって脳死とする『脳幹死』の立場をとっており、上記4項目以上の判定は不要としている。
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