連関資料 :: 失語症
資料:3件
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失語症について
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『失語症』について
まず『失語』という言葉であるが、この言葉に対して、さまざまな意見がなされてきた。『大脳の一定領域(言語領域)の器質性病変に由来する、言語シンボル(口頭言語と書字言語)の表出と了解の障害である。』とした大橋の意見をはじめ、Bensonや山鳥、笹沼などの意見である。彼らの意見はいずれも構音器官の麻痺等による構音障害や、器質的発声障害、痴呆に伴う言語症状などは失語症ではないことを示している。
次に、言語における脳のはたらきを見てみたいと思う。
脳内において、言語をつかさどるのは言語野であり、その大多数は左大脳半球に存在している。そして言語中枢には、運動面をつかさどるブローカー領域、聴覚的理解をつかさどるウェルニッケ領域、視覚的理解をつかさどる角回領域があり、これらの各領域が密接につながりあうことによって、聞こえた言葉を受け止め、それに答えて言葉を表出したり、文章を見て、理解したり発話したりすることが可能となっているのである。つまり、繰り返しになるが、失語症はこれらの領域が脳血管障害や外傷、脳腫瘍などによって犯されることでこれらの機能が失われる症状のことなのである。その症状には、言語の四つの機能(聞く、話す、読む、書く)のすべてにわたるのが普通であり、一般的にあいさつやあいづちといった自動的で具体的、かつ単純な側面は比較的保たれ回復も早い。しかし、意図的で抽象的、かつ複雑な側面は障害されやすく回復しにくいのである。
それでは、その失語症の言語症状について代表的なものに軽くふれてみよう。まず構音失行であるが、これは全く発音が出来なくなったり、語音の言い間違い、歪み、吃様症状などがみられ、発話が非流暢となる。例えば、カメラをツツツツやカカカマラと発話するのがこれである。つぎに語健忘であるが、これは事物が何であるかは分かっていても、その名が喚起できない状態であり、語想起障害ともいう。おもに名詞が想起できないことが多く、その結果、あれ、それ、これ、などといった代名詞を多用することになるのだ。例えば受話器を出された場合、受話器そのものが何であるかは理解しているのだが、いざそれを言葉に発してみようとしてもできないのである。また、この語健忘によりその事物の症状や用途を遠まわしに説明する様子を迂言という。そして錯語であるが、しゃべろう、あるいは書こうとする際に誤って表出されることばのことであり、その種類には、音韻性錯語(ともだちを、こもだちと言う)、類義的錯誤(同一カテゴリーの中での誤りであり、たばこをまっちと言う)、非類義的錯誤(全く関連のない語への誤りであり、血圧計を寒暖計と言う)、新造語(みずをつじと言う)がある。この錯語が頻発し、しゃべっていることが全く意味をなさなくなっている状態をジャルゴン発話という。汽船の説明をする際、『かくせんとうくいですね。かいせん、どっか遠くへ、むかしは満州へ行きましたが、かくせんきぼですね。』というように発話するものがこれである。ほかにも、〈てにをは〉が省略され、動詞、助動詞の活用が不正確になる文法障害、音読できたり質問を復唱できたりするのに、その意味がわからなくなる語義理解の障害などがある。
ここまでは失語症の言語症状について述べてきたが、今度は失語症そのものの分類を、現在最も広く用いられているBoston学派の分類法で紹介していきたいと思う。この分類法では『流暢性』、『聴覚的理解力』、『復唱能力』の3項目の良否によって八種類に分類できる。
まず全失語(非流暢、理解力障害重度、復唱不良)であ
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失語症病態レポート 8ページ
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1. 言語障害の種類
言語障害といっても、その内容はさまざまである。神経症候として重要なのは構音障害dysarthria、anarthriaと失語「症」aphasia、dysphasiaである。この両者は必ず鑑別すべきものである。構音障害というのは、発語に関係する神経や筋肉の障害によって起こり、うまくしゃべれないということである。患者自身は言葉の理解も正常で、いうことも、考えていることも正常であるが、思うように発語できない。書字、読書に関しては異常がない。声帯の障害で声が出ないのを失声aphoniaという。一方失語「症」は、発語に関する筋や末梢神経には異常がなく、知能や意識の低下もなく、聴力の障害もないのに言語による表現や文字の理解ができないものをいう。
その他、意識は清明で、構音障害と失語「症」もないのに全くしゃべらないのを無言「症」mutismという。ヒステリーなどの精神障害者にみられる。また眼を開いているが、全く無言で、随意運動もせず横たわっている一種特有な意識障害の状態を無動性無言「症」akinetic mutismといい、網様体賦活系の部分的障害などによって起こる。
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