<変圧器>
1.目的
最も一般的な電気機器である変圧器の構造及び特性の理解。
2.原理
変圧器は一次側に印加された交流電圧の電圧値を異なった値に変換することを目的としたものである。
下図1.1の様な正弦波交流電圧V1を一次側の端子に印加した理想変圧器を考える。スイッチSを開いた無負荷時では、式(1.1)を満たす交番磁界φが鉄心中に生じる。交番磁界によって一次巻線および二次巻線に式(1.2)および式(1,3)で表される電圧を誘導する。また、一次巻線と二次巻線の電圧には式(1.4)が成立している。
(1.1)
(1.2)
(1.3)
(1.4)
次に、スイッチSを閉じると二次巻線には二次負荷電流I2が流れる。E1とV1は等しくなければならないから、E1を誘導する磁束φは同じでなければならない。従って、二次負荷電流により新しく生じた起電力を打ち消す一次負荷電流I1’が流れ、両者の起磁力は等しいことから式(1.5)および式(1.6)が成立している。
(1.5)
(1.6)
実際の変圧器では、磁束の漏れ、励磁電流、巻線抵抗による損失(銅損)を考慮する必要がある。これらを考慮した変圧器の等価回路、簡易等価回路は図1.2のようにあらわされる。図1.2の二つの等価回路の計算結果の相違は小さいことが知られている。簡易等価回路の定数は、短絡試験、無負荷試験を行うことにより推定できる。
1
3.実験方法
実験に先立って、銘盤(製造番号まで)の記述を記録しておく。供試変圧器の一次側、二次側とも定格電圧が200Vとなっていることを確認する。また、下図1.3(b)の位置に金属片が蝶ネジにより固定されていることも確認する。
(ⅰ)抵抗測定
図1.4の配線で変圧器の一次側、二次側の巻線の抵抗値を電圧降下法により0.6A以下の3点で測定する。(ⅱ)以下の実験では、巻線抵抗の大きいほうを一次側として実験を行う。この直流での一次側の巻線抵抗をR1、二次側の巻線抵抗をR2とする。
(ⅱ)無負荷試験
1. SW1、SW2およびBREAKERがoffになっていること、誘導電圧調整器の針が0をさしていることを確認した後、図1.5のように配線する。
2. 誘導電圧調整器により印加電圧を100Vから200Vまで20V毎に変化させ、一次側の電圧、電流、電力、二次側の電圧を記録する。一次電流、電圧および電力は、ディジタルパワーメータのファンクションスイッチを切り替えて測定する。
3. 一次側の電圧が120V、200Vのときの一次側の電流波形をオシロスコープで観察し記録する。測定は電流計の両端で行う。
2
(ⅲ)短絡試験
1. SW1、SW2およびBREAKERがoffになっていること、誘導電圧調整器の針が0をさしていることを確認する。
2. 図1.6のように配線する。このとき、供試変圧器と同じ企画の変圧器を図1.3に示すように、一方を200V、もう一方を100Vに設定し、200Vに設定した側をV1およびV2端子に接続し、電流変圧器C.T.(Current Transformer)として用いる。また100Vに設定した側は、ディジタルパワーテスターのsource側に接続する。
3. SW1、SW2およびBREAKERをonにして、印加電圧を誘導電圧調整器により変化させることによって、印加電流を低下値(5A)の2
<変圧器>
1.目的
最も一般的な電気機器である変圧器の構造及び特性の理解。
2.原理
変圧器は一次側に印加された交流電圧の電圧値を異なった値に変換することを目的としたものである。
下図1.1の様な正弦波交流電圧V1を一次側の端子に印加した理想変圧器を考える。スイッチSを開いた無負荷時では、式(1.1)を満たす交番磁界φが鉄心中に生じる。交番磁界によって一次巻線および二次巻線に式(1.2)および式(1,3)で表される電圧を誘導する。また、一次巻線と二次巻線の電圧には式(1.4)が成立している。
(1.1)
(1.2)
(1.3)
(1.4)
次に、スイッチSを閉じると二次巻線には二次負荷電流I2が流れる。E1とV1は等しくなければならないから、E1を誘導する磁束φは同じでなければならない。従って、二次負荷電流により新しく生じた起電力を打ち消す一次負荷電流I1’が流れ、両者の起磁力は等しいことから式(1.5)および式(1.6)が成立している。
(1....