資料:2件
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構造調整政策と男女の社会経済関係
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構造調整政策。途上国がIMFや世界銀行から金融支援を受ける際に要求される政策勧告である。1980年代初頭、多くの国で累積債務問題が深刻になって以降、本格的に採用された政策だ。その具体的な内容は、財政赤字の削減・公共部門の縮小・国営企業の民営化・為替の自由化・貿易の自由化(関税の削減・撤廃)・為替の自由化・価格統制の撤廃などである。自由主義経済学理論によると、これらの政策により、市場に競争原理が働き、民間の活力が増す。すると、民間主導の経済成長が実現できるという。
しかし、実際のところ、構造調整政策には数多くの問題があった。IMFや世界銀行主導のためであろうか。途上国側の社会的・文化的背景が蔑ろにされ、社会権の侵害を引き起こした。また、途上国の貧困を悪化させ貧困層の生活に更なるダメージを与えた例もある。そもそも構造調整政策の理念は先進国の経済学に依拠している。しかし、政策の対象は途上国である。市場原理や経済合理性といった理念が社会のレベルでも個人のレベルでも浸透してはいない。ゆえに、政策と実情とがミスマッチを起こしてしまうのは想像に難くない。政策パッケージが、途上国の経済発展段階を考慮して作られたものなのか疑問である。
構造調整政策が、大規模な社会経済構造改革を主眼とし、家庭や個人に目を向けないように、政策の評価も社会経済全体を見て語られることが多い。しかし、社会経済構造の変化を一番に受けるのは、国である以前に国の構成員である国民である。故に家庭や個人に目を向けた政策評価も必要になってくる。そこで本稿では、政策の影響を家庭や個人のレベルにまで向けて考えてみる。そして社会的に規定される男女の関係、すなわちジェンダーと絡めて考察してみたい。更にその中でも、政策の実施における社会・経済の変化が女性の立場(地位)にどのような変化をもたらしたのか考察する。以下本稿では、まず構造調整政策の問題点を挙げ、その問題が女性の立場(地位)にどのような変化をもたらしたのかを、具体例を交えながら考察してゆく。
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