資料:3件
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『学力低下とは何かを明らかにし、社会階層のような社会的不平等と学力がどのような関わりをもつのかについて述べよ。』
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『学力低下とは何かを明らかにし、社会階層のような社会的不平等と学力がどのような関わりをもつのかについて述べよ。』
今、学力低下が非常にセンセーショナルに論じられている。大学生に限ってみれば、学力が低下しているという議論は古いものではなく、大学生レジャー論、青年総休暇村論、高等保育園論などは、学力低下と絡めて論じられてきたし、「新制大学・駅弁大学の卒業生は・・・」、「全共闘世代は・・・」、「共通一次世代は・・・」と世代論を絡める形で、新しい世代は「こんなこともできない、あんなこともできない」と論じられ続けてきた。
しかし、今日展開されている議論は、明らかにそれらとは異なる。少なくともこれまでの大学生の学力低下は、ある意味で大衆化の必然的な帰結であった側面もある。大学生の学力低下は、要するにこれまで大学に入れなかった層が大学生になることによって、引き起こされていたともいえるのである。したがって、そういう事態が望ましいかどうかは別として、つまり大学の大衆化を、高等教育の発展ととらえるか、大学の堕落ととらえるかは別として、全体的には、教育水準が上昇することによって、新しい世代は前の世代以上の学力を身につけているであろうということが了解されていた。また、仮に大学での教育がうまく機能してなくても、高校以下の教育は水準が高く、国際コンテストでトップクラスにあるため、大学時代の他称の教育的ウエスティジは大目に見られたのである。今日の議論は、新しい世代の学力が前の世代の学力に及ばない、縮小再生産の過程が始まったのではないかという疑念があるところに、根本的かつ深刻な問題があるのである。こういった疑念のさらに根本にあるのは、「学ぶ」ということに対する価値付けの低下である。一部の大学においては、すでに学力低下以前の問題が起きている。学生に学習する習慣がないのである。かつての大学であれば、少なくとも学校教育で展開される日々の学習に適応する生徒が進学していたはずである。そうでなければ大学入試に受からなかったはずである。しかし現在は、大学進学は易化し、ほぼフリーパスに近いのであり、学習習慣を身につけていない大学生が大量に発生することになる。
学力低下の原因のひとつといわれているのが、学習指導要領の改訂による学習内容の削減である。昭和52,53年改訂版より学習内容は削減され、最新の平成10,11年改訂版では前指導要領よりも3割も削減されている。削減される前のカリキュラムで教育を受けた世代にすでに深刻な学力低下が見られている。また、学力低下の背景には、夢をもつ子どもや青年が少なくなってきているということがある。つまり学習する事への動機づけが減退してきているということである。自分の将来の展望を描けない子どもたちが増えてきているのである。さらに、社会階層間の学習時間の格差が拡大していることも学力低下の一因だろう。学習内容削減前と比べて削減後の方が、社会階層間の学習時間の格差が拡大しているのである。勉強離れが進行しているというわけである。国際的な視野からみても、日本の子どもたちの数学や科学の学力は、高い位置をキープしてはいるが徐々に低下している。
学力低下をめぐる議論にはいくつかのタイプがある。議論は多岐にわたるが四つの類型に整理してみた。まず、議論の観点として「国家・社会の観点」からか、「児童・生徒の観点」からか設定する。もう一つ、「ゆとり教育を中心とする現在の教育改革の狙い」に肯定的か、否定的かを設定する。タイプ1:「国家・社会の観点」から「ゆとり教育」に肯定的なもの。このタイ
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