■オンブズマン制度の基本的性格を論ぜよ
オンブズマン制度は住民の苦情を中立的な代理人としての立場に立って不法行為者から被害者に代わって補償を取り立てることと、必要に応じて行政側に是正措置を求めて簡易・迅速に問題を解決していく制度である。オンブズマンという言葉の語源は、スウェーデン語で「代理人」という意味で、制度としてスタートしたのもスウェーデンだ。オンブズマン制度は行政統制の一つとして、最初に北欧諸国において発達した。この先例に続いて、第二次世界大戦後の国家活動の拡大からデンマークなどの北欧国家では、公的機関の過誤や権力の乱用から国民大衆を保護する必要性を痛感した。それにより行政オンブズマン、議会オンブズマン、軍事オンブズマンなどの制度が具現化して行った。
20世紀に入り1919年にフィンランド、1955年にデンマークで導入されたほか、イギリス、フランスなど世界各国でオンブズマン制度が導入された。日本では1990年に初めて、東京都中野区と神奈川県川崎市で制度化された。
オンブズマン制度が持つ機能の特徴は一般的には三つある。①オンブズマンがその行政に対する住民の苦情を受け付け、公平・中...