資料:2件
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日中アスペクトの対照研究-「~テイル」「~テアル」を中心にー
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はじめに
中国人の多くは日本語に親近感があり、日本語は難しくないと思い込んでいる。毎年中国国内で行われている教師、医者、技術者などを対象とする職位認定の外国語試験で、外国語のできない人が日本語の試験を受け、そして、見事に合格する話をよく耳にする。また、日本語学習者は増えているが、しかし、初級クラスに入る人が多いものの、中級や上級に進級できる人は少ない。日本語ができる人は多いが、日本語に精通する人が少ないのがその現状なのである。大学の日本語科目でも、日本語を甘く見ているということで、いろいろな問題が生じる。
日本語の表現から見ると、日本語話者には自明であるが、中国語話者には意外に難しいことが存在している。「~テイル」、「~テアル」表現は難しくて、習得しにくい部分の1つである。日本語のアスペクトに関する研究がたくさんされているが、日本語のアスペクトと中国語のアスペクトの対照についての研究はまだ十分されているとは言えない。
例えば:
(1)テーブルにお皿が並んでいる。
桌子上摆着盘子。
(2)テーブルにお皿が並べてある。
桌子上摆着盘子。
(1)は行為そのものではなく、並んだ結果に注目する表現で、人間などの意図が含まれていない。それに対して、(2)は行為者の意図によってお皿がどういう状態にあるかを表現したものである。つまり、「並んでいる」はお皿の状態だけに注目しているが、「並べてある」は状態と、その状態を引き起こした行為・行為者に注目しているので、行為者が何のためにお皿をそうしたかについて一緒に述べられることが多い。(2)は(1)と意味的に重なる部分があるが、話し手の注目点が異なる。
ところが、中国語は「テーブルにお皿が並んでいる。」も「テーブルにお皿が並べてある。」も“桌子上摆着盘子。”という。概して言えば、日本語では、状態を引き起こした結果や変化に注目する表現と、何かのためにその状態を引き起こした行為に注目する表現を使い分けている。これに対して、中国語は使い分けていない。この表現は使い分けていないため、中国語母語日本語学習者は、「~テイル」と「~テアル」の表現をよく混同する。
日本語アスペクトの範囲が広くて、複雑な研究分野だと言われている。それで、多く言語研究者は日本語動詞を研究する際に、アスペクト問題を回避したり、アスペクトの代わりに動詞の分類を分析したりする。アスペクトは日本語の動詞に存在しないとする研究者さえいる。長い時期、日本語学研究界は日本語のアスペクトについて、大量な研究を行った。中国語学研究界でも日中のアスペクトの比較研究が行われているが、中国語における、アスペクトとは一体なんだろうか、分類はいくつあるか、いままでまだ定説がないのである。本稿は日本語のアスペクト「~テイル」、「~テアル」を中心にし、概念や特徴を分析した上で、日中アスペクトの関連を論じ、中国語を母語とする日本語学習者が日本語をよりよく習得出来るように、日中アスペクトの比較を目的とする。
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