平成18年度 刑事政策 1学期 レポート
近時における犯罪現象の推移を考えるにあたり、犯罪白書(参考文献①4頁)「認知件数・検挙人員・発生率の推移」を見てみる。これを見ると、平成14年以降多少の減少傾向にあるが、年々、特に平成10年以降認知件数が急増しているため、一見治安悪化を考えさせられる。しかし、重大犯罪を除けば警察に認知されるのは少数で、そのほとんどが知られることはない、また、警察活動が活発になれば、認知件数が増大する(参考文献②5頁)。つまり、正確には認知件数をもって犯罪数と考えることはできないのである。このように、実際に発生した犯罪数と公式の犯罪統計に記録された犯罪数の差を「暗数」と言う(参考文献④53頁)。暗数は、殺人などの重大犯罪については顕在化していないが、窃盗など特に自転車窃盗などの犯罪は、顕在化が著しい。被害者は、軽微な被害であれば通報しない、特にわいせつ等では、被害者が被害に遭ったことを知られたくないなどの「警察により認知されないことによる暗数」と、桶川ストーカー殺人事件では、前裁きという実務上の処理が行われていたが事件により運用が変化したなどによる「警察の裁量...