資料:4件
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伊勢物語における「鬼」とは何か
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むかし、おとこありけり。女のえ得まじかりけるを、年を経てよばひわたりけるを、からうじて盗み出でて、いと暗きに来けり。芥川といふ河を率ていきければ、草の上にをきたりける露を、「かれは何ぞ」となんおとこに問ひける。ゆくさき多く夜もふけにければ、鬼ある所とも知らで、神さへいといみじう鳴り、雨もいたう降りければ、あばらなる蔵に、女をば奥にをし入れて、おとこ、弓胡(ゆみやなぐひ)を負ひて戸口に居り、はや夜も明けなんと思つゝゐたりけるに、鬼はや一口に食ひてけり。「あなや」といひけれど、神鳴るさはぎにえ聞かざりけり。やうやう夜も明けゆくに、見れば、率て来し女もなし。足ずりをして泣けどもかひなし。
白玉かなにぞと人の問ひし時露とこたへて消えなましものを
これは、二条の后のいとこの女御の御もとに、仕うまつるやうにてゐたまへりけるを、かたちのいとめでたくおはしければ、盗みて負ひて出でたりけるを、御兄人堀河の大臣、太郎国経の大納言、まだ下らうにて内へまいりたまふに、いみじう泣く人あるを聞きつけて、とゞめてとりかへしたまうてけり。それを、かく鬼とはいふなりけり。まだいと若うて、后のたゞにおはしける時とや。
伊勢物語が語られる際には、必ず登場してくる段であろう。とても印象的な段である。「おとこ」が主人公である伊勢物語の中でも、この第六段は「女」の描写が細かい。また、物語中の「おとこ」の人格形成に決定的なエピソードであるのも間違いない。
この第六段にでてくる、「鬼」とは何を表しているのであろうか?
伊勢物語は、歌物語を男の一代記に仕立てた物語であって、「在五中将日記」とも呼ばれており、決してファンタジーではない。(第六段がよく高校で取り扱われる有名な段なのも手伝ってか、「伊勢物語っておとぎ話だよね?」など大学生が言っている場面にも遭遇した。)
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古今和歌集・竹取物語・伊勢物語概説
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『古今和歌集』は日本最古の勅撰和歌集として、延喜五(九〇五)年、醍醐天皇が紀貫之、紀友則、凡河内躬恒、壬生忠見を編集にあたらせ成立することとなった。
成立にいたる大きな要因として、かな文字の発生が挙げられる。九世紀の唐風謳歌の時勢にあって和歌は衰微していたが、私的文学として、また男女間の恋歌、民謡などでその命脈を保っていた。勅撰三集と呼ばれる漢詩集の隆盛や公的行事の唐風化など、唐を模範とすることが良しとされていた時代から、唐文化の模倣からの脱却を図ろうとする自覚が高まる時期を経てのかな文字の発生は文学を女性に浸透させていくこととなった。これは『古今和歌集』において撰者自身と読み人知らずを除いた女性歌人の比率が二割以上(七〇余首)と高いことでも理解できる。宇多朝の仁和から寛平年間にかけて歌合が盛んに行われるようになったことも成立要因のひとつである。現存最古の歌合である在原行平の「在民部卿家歌合」や「寛平御時后宮歌合」、「亭子院女郎花合」などに和歌復興の機運が見られる。九世紀後半に成立した『新撰萬葉集』は万葉仮名で書かれた和歌に、それを漢訳した漢詩を添える構成、また宇多天皇の求めにより大江
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