1.法の解釈の概要と妥当性の基準について
今日の日本の法社会は、実定法を中心としたヨーロッパの近代市民社会を範とする。実定法とは、立法府などの国家機関が慣習、判例に基づき制定した法のことである。特に、成文法は、その特徴から「形式的法源」の主な存在形式として把握される。事件が起きた時、紛争解決にあたり、法の適用をする。法の適用とは、具体的事案にルールを当てはめて結論を出す作業である。これは、事実の認定と法の発見、あてはめの三段階からなる。しかし、成文法は、不特定多数の人を対象としているため、その文言は、一般的・抽象的にならざるを得ないし、社会や経済の急速な発展によって多様化、複雑化しているから、具体的事実にそのままの形で法を当てはめることができないことがある。その場合、実定法に含まれている法規範の意味することを明確にする法の解釈を行う必要がある。解釈の妥当性をめぐっては、多くの人々にとっての正義とは何かが問題である。本問検討の意義は、成文法を妥当な解釈することができるようになること、よりよい法社会を構築していくことにある。
2.法解釈の主体と方法
法解釈において主体として、有権解釈と学理...