はじめに
「仮面」、現在の日本では能や祭りの時の舞に被る仮面をよく見るだろう。しかし、その仮面としての機能を理解している人が何人いるのだろうか。仮面は確かに一目見たようにそれを被り、顔を隠すために使うが、本当にただ、それだけのために作られたのだろうか。そして、なぜ全国に存在するのであろうか。
仮面
はじめに
「仮面」、現在の日本では能や祭りの時の舞に被る仮面をよく見るだろう。しかし、その仮面としての機能を理解している人が何人いるのだろうか。仮面は確かに一目見たようにそれを被り、顔を隠すために使うが、本当にただ、それだけのために作られたのだろうか。そして、なぜ全国に存在するのであろうか。
仮面の役割
仮面がはじめて歴史の表舞台に立ったのは、今現在の人類いわゆるホモ・サピエンスからであるらしいが、ヨーロッパのクロマニヨン人の居住や聖域と化した鍾乳洞を調査したルロワ=グーランの『西欧芸術の先史時代』という本の中にある有名な『ラスコーの壁画』の写真で「ピュイ」と呼ばれる部分に野牛と犀らしきものの間に小さな人間がいる。この人間というのが鳥の頭をしており、指が三本の奇妙な形をし、傍に杖が描かれている。この壁画の意味は様々な説があるがここでは触れないで、この呪術師らしき鳥頭の人間だけに注目してみることにする。
この「ピュイ」の人物は、呪術的な何らかの意味で鳥の面を被っており、統治者の特権であり、象徴であったとされている。ルロワ=グーランの説によると、はじめに狩猟の折に目当ての獲物に...