※課題1 刑事裁判と人権について述べなさい。
まず、刑事裁判の前提となる、捜査段階における人権保護規定について論じていく。捜査段階において、人権を侵害する危険性があるのは、逮捕や捜索、押収などの強制処分が濫用されるような場合である。こうしたことを防ぐため、捜査は原則的な任意捜査によるとされている。強制処分が例外的に認められるのは、以下の二点を満たすようなケースに限られる。1つには、強制処分法定主義といって、強制処分は刑事訴訟法に特別の定めのある場合でなければできないと規定されている。「刑訴法197条1項」また、もう1つは令状主義であり、捜査機関の強制処分の執行は、裁判官が正当な理由の有無を判断し、令状を発布した場合に限られる。「憲法33.35条、刑訴法218条、225条等」
なお、強制処分の中でも、逮捕については令状に基づくもの以外に、2つの例外を置いている。ひとつは現行犯逮捕「刑訴法212条以下」であり、もう1つは緊急逮捕「刑訴法201条」である。このうち、緊急逮捕は、大罪を犯したことを疑うに足る十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができない場...