行政不服審査法現行・改正法案の比較検討

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行政不服審査法現行・改正法案の比較検討
Ⅰ.現行行政不服審査法の問題点
制度の複雑さと手続保障の低さ
 行政不服審査法(以下、行服法という)は、その制度が複雑かつ難解であり、特別法や適用除外も多く、行服法は市民にとって利用しやすいものではなかった。制度の不備や不明に基づくリスクは申立人に帰することが多く、手続保障も低い。また、審査請求中心主義についてもその合理性が疑われていた。
 2.申立期間及び審理期間
行服法の申立期間は処分があったことを知った日の翌日から60日以内にしなければならない(14Ⅰ)が、これは短いという批判があった。また、行政不服審査の運用状況を見ると、審査請求の処理期間についてその大半は3か月を経過しており、しかも認容率は決して高いとは言えないのが現状である。簡易迅速に権利救済を図るという行服法の目的は実現されていなかった。
3.公正性の低さ
 従来の行政不服制度は、客観的かつ公正な審理がなされているとは言い難かった。とくに異議申立ての場合は、不服審査手続きの一方当事者である処分庁が審理を行うものとされ(3Ⅱ)、弁明書・反論書の提出や処分庁からの物件の提出・閲覧が規定

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行政不服審査法現行・改正法案の比較検討

Ⅰ.現行行政不服審査法の問題点

制度の複雑さと手続保障の低さ

 行政不服審査法(以下、行服法という)は、その制度が複雑かつ難解であり、特別法や適用除外も多く、行服法は市民にとって利用しやすいものではなかった。制度の不備や不明に基づくリスクは申立人に帰することが多く、手続保障も低い。また、審査請求中心主義についてもその合理性が疑われていた。

 2.申立期間及び審理期間

行服法の申立期間は処分があったことを知った日の翌日から60日以内にしなければならない(14Ⅰ)が、これは短いという批判があった。また、行政不服審査の運用状況を見ると、審査請求の処理期間についてその大半は3か月を経過しており、しかも認容率は決して高いとは言えないのが現状である。簡易迅速に権利救済を図るという行服法の目的は実現されていなかった。

3.公正性の低さ

 従来の行政不服制度は、客観的かつ公正な審理がなされているとは言い難かった。とくに異議申立ての場合は、不服審査手続きの一方当事者である処分庁が審理を行うものとされ(3Ⅱ)、弁明書・反論書の提出や処分庁からの物件の提...

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