図書館資料論のブックレポートです。S評価。参考までにどうぞ。
図書館資料論 BookReport2 萩野正昭 2010『電子書籍奮戦記』新潮社
2012/07/13
本書の要約
本書は、著者の萩野正昭氏が電子書籍に携わってきた18年間含むおよそ40年間の奮闘記である。大学卒業から、東映の非正規社員、レーザーディスク制作会社、そして電子書籍という事業に繋がるボイジャーの設立。「まえがき」によると、萩野氏は「1992年に株式会社ボイジャーを設立以来、電子書籍に関わってきました。私のようにこの世界にどっぷり浸かってきた人間は、『電子書籍元年』という呼び方に違和感を感じないわけにはいきません」(p.1)「電子書籍について、いろんな人がいろんな発言をしていますが、お前らに電子書籍の一体何が分かるのか」(p.2)と言う。ジャーナリストの視点ではなく、実業として電子書籍に取り組んできた著者によるノンフィクションだけに、臨場感や懸命さが伝わってくる。
特に注目した点
私が注目した点は、「青空文庫」誕生の話である。「青空文庫」といえば、著作権保護期間の切れた作品が電子化され、インターネットを介して誰もが自由に無料で読むことのできるサービスであるが、このサービ...