「個別援助技術(ケースワーク)の理論と内容について述べなさい」
Ⅰ リッチモンドの貢献
「ケースワークの母」と言われるM,リッチモンドは、アメリカでの社会福祉援助の専門化に大きな貢献をした。1917年に『社会診断』を著しし、ケースワークを初めて科学的に体系化したことで知られている。又、1922年には『ソーシャル・ワーク・ケースとは何か』を著しており、個別援助活動の方法を明確にした。リッチモンドの個別援助活動に、次のような特徴が見られる。①個人と社会環境への洞察をもとにした直接的活動と間接的活動。②個別的調整を重視し、個別化の原則を示唆した。③当時の諸科学の知識を用い、それらを基礎とした合理的判断の上に立った科学的方法を展開した。④生活困窮者個人のみでなく家族全体として対象とする場合が多い。⑤移民家族や母子世帯などの「貧困世帯
」を起点。⑥生活史の解明。⑦事例研究の方法を用い、そのための実践記録を重視した。
このようにリッチモンドは、それまでの経験主義的・道徳的な個別援助活動に社会・歴史的視点と科学的・合理的な方法や技術を導入した点で、社会福祉援助技術の専門化に画期的な貢献をした。
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