自己の仕事や自社の製品、サービスを正しく評価してもらうには、その良さを正確に伝えなければなりません。つまり、評価は、内容のよさと伝達効率のかけ算によって決まるのです。正しく評価してもらうには、この伝達効率を高めなければなりません。 伝達効率の低い文章では、正しく評価してもらえません。せっかく良い仕事をしても、その良さを上司に伝達できなければ評価してもらえないのです。また、商品やサービスの質で勝っていても、それを顧客に正しく伝えられなければ、競争には勝てません。つまり、効果的な情報伝達ができないと、困るのは書き手側です。 ライティングの重要性を示す好例を示しましょう。今から15年程前ですが、アメリカのスリーマイル原子力発電所で、大事故がありました。このとき、あるエンジニアが事故の可能性について、事前に上司に報告していました。しかし、その上司は部下の報告書をよく読まず、その警告を無視しました。そして、事故が起きたのでした。当然、その上司は裁判で事故の責任を問われました。しかし、報告書が適切に書かれていなかった、そのためにその報告書の警告を無視したのもいたしかたない、という理由で、その上司は責任を免れたのでした。このように、一つの報告書が大事故を防ぎも、引き起こしもするのです。 伝達効率の高い文章を書けば、以下のような効果的な情報伝達ができます。 *読み手のメリット 1)必要な情報だけを読める 効果的に書かれたビジネス文章なら、必要な情報だけを読めます。なぜなら、どこに必要な情報があるか、一目でわかるからです。不必要な情報を読まずに済むのですから、それだけ読み手の生産性が上がります。 2)内容が一読で理解できる 効果的に書かれたビジネス文章なら、一度読んだだけで理解できます。したがって、読み返す必要もなければ、書き手に不明点を問い合わせる必要もありません。情報入手に無駄な時間を割かずに済むので、それだけ読み手の生産性が上がります。 3)書き手の意図を100%近く理解できる 効果的に書かれたビジネス文章なら、書き手の伝えたいことがほぼ正確に理解できます。誤解による無駄な行動がなくなるので、それだけ読み手の生産性が上がります。 *書き手のメリット 1)考えを100%近く伝えられる ビジネス文章を効果的に書けば、自分の考えをほぼ正確に読み手に伝えられます。伝達すべき情報が確実に伝わり、読み手が期待したアクションを起こしてくれるのですから、書き手の生産性が上がります。 2)内容を読み手の印象に残せる ビジネス文章を効果的に書けば、その内容を読み手に強く印象付けられます。つまり、内容が読み手の記憶に長くとどまります。読み手が伝達内容を覚えていてくれるのですから、ビジネスがスムーズに進み、それだけ書き手の生産性が上がります。 3)論理的に考えやすくなる ビジネス文章を効果的に書けば、物事をより論理的に考えられるようになります。なぜなら、非論理的な考えを、効果的な文章の形に書こうとすると、今まで見えなかった非論理性が見えるようになるからです。物事を論理的に考えられれば、それだけ書き手の生産性が上がります。 4)文章を速く書ける ビジネス文章を効果的に書けば、短時間で文章を作成できます。なぜなら、どういう手順で何をどう書けばよいかがすぐにわかるからです。無駄な試行錯誤を省ける分だけ、文章を速く書けるのです。文章を書くのに時間を取られなければ、それだけ書き手の生産性が上がります。
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