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小学生の頃、伝記物語が好きでよく読んでいた。だけど、小説を書く人たちの伝記は好まなかった。日本銀行券の表面の肖像に女性で初めて選ばれた樋口一葉。新5千円札の肖像になったことをきっかけに学びたいと思った。一葉はどんな家庭で生まれ育ったのだろうか。
1.士族の娘 期待される次女樋口夏子
樋口一葉、本名樋口奈津、なつ・夏・夏子ともいう。明治5年旧暦3月25日(新暦5月2日)東京府庁構内の長屋(公務員住宅)で、父則義、母たきの次女として生まれる。両親は、甲斐国山梨郡の農家に生まれたが、20代で駆け落ちし江戸に上り、夫婦共働きした10年後に、南町奉公配下八丁堀同心の株を買い、幕臣となる。明治維新後も、東京府庁に勤務。幼少より利発な娘を5歳より学校へ入学させる。明治16年12月、青梅学校小学高等科第四級を首席で修業。これが最終学歴である。母様の意見によって上級進学をせず学校を退学。一葉「死ぬばかり悲しかりしど、学校は止になりけり」12歳の女の子がどれほど勤勉な子どもだったかがわかる。一葉の生まれた明治初期はどのような時代であったのだろうか。
2.明治初期の日本
諸外国に追いつけとばかりに西欧...