☆ポイント☆
[基本]
胃の壁は、内側から ①粘膜 ②粘膜下層 ③筋層 ④漿膜 に分けられ、胃がんは最も内側の粘膜上皮から発生し、徐々に漿膜側へと深く浸潤していく。
がんが ①粘膜や②粘膜下層 までにとどまる場合を「早期胃がん」、 ③筋層より深部に浸潤するものを「進行胃がん」という。
胃がんは早期のうちに発見して治療するのが理想である。放置すると胃の壁深くへ浸潤するだけでなく、リンパ液の流れにそって、胃の周囲のリンパ節やさらに遠方のリンパ節に転移したり(リンパ行性転移)、血液の流れにそって肝臓や肺などへ転移する(血行性転移)。また、おなかの中にがん細胞が散らばる腹膜播種(はしゅ)が起こることもある。この結果、低栄養、低たんぱく、貧血をおこすなどして、全身状態が悪化する。
[症状]
初期のころは、なんの自覚症状もないことがほとんどである。症状が現われても、胃がん特有のものはなく、なんとなく胃のあたりが重い、食欲がない、味覚が変わった、胸焼けやげっぷが多くなった、口臭がきつくなった、嘔気がするなど、ほかの胃腸の病気でみられるものと同じである。また、初期のころは痛みをともなうことはまれで、そ...