下腿骨骨折は大きく脛骨近位端骨折・脛骨骨幹部骨折・下腿骨遠位端骨折の3つに分けられる。
Ⅰ.概要・発生機所
◎近位端骨折
脛骨近位端骨折は荷重関節の骨折であり、その受傷機転は垂直方向の突き上げ(vertical thrust)と内反、外反を含めた屈曲(bending)外力の合力により生じるとされている。
この受傷機転により、関節面のさまざまな程度の陥没と荷重線のmalalignment(アライメント不良)を生じる。関節面の不適合は関節軟骨へのストレスの増加をきたし、malalignmentは陥没した関節面への荷重軸の偏位をもたらす。この2つのメカニズムにより、外傷後変形性関節症を生じる。骨折に加えて側副靭帯、十字靭帯損傷を放置すれば、膝関節の不安定性を生じる。関節の不安定性は靭帯のみならず、関節面の不適合により生じる。
このように、関節面の不適合性、malalignment、不安定性が関節症性変化の進行をもたらすため、本症の治療は関節面の正確な整復と、強固な内固定、膝関節の安定性を得ることを目標に治療される。
また好発部位としては脛骨外顆で、合併症としては内側側副靭帯の断裂や十字靭帯の...