1 甲がX の顔面を平手で数回殴打した行為は暴行罪( 2 0 8 条) の実行行為にあたる。もっとも、甲の行為によって、X に傷害の結果が生じている。そして、甲はけがをさせるつもりはなかったのであるから、傷害の故意を認めるこはできず、暴行の故意が認められるにとどまる。このように、傷害を負わせるつもりはなく暴行を加えたが、傷害結果を発生させてしまった場合、いかなる犯罪が成立するか。
2 まず、暴行罪( 2 0 8 条) の成立を認めることはできない。
傷害の故意
<問題>
甲は、ある日の深夜、かねてより気に入らないXを路上で見かけたので、懲らしめてやろ
うと決意し(けがをさせるつもりはなかった。)、Xの顔面を平手で数回殴打した。その結
果、Xは、顔面打撲等の傷害を負った。甲の罪責を論ぜよ。
1 甲がXの顔面を平手で数回殴打した行為は暴行罪(208条)の実行行為にあたる。
もっとも、甲の行為によって、Xに傷害の結果が生じている。そして、甲はけがをさせ
るつもりはなかったのであるから、傷害の故意を認めることはできず、暴行の故意が認
められるにとどまる。
このように、傷害を負わせるつもりはなく暴行を加えたが、傷害結果を発生させてし
まった...