1(1)35 条は「法令又は正当に業務による行為は、罰しない」と規定している。
(2)35 条は正当防衛(36 条)、緊急避難(37 条)以外の違法性阻却自由を規定したもので、この中に被害者の同意が含まれる。
2(1)被害者の同意とは、法益主体である被害者が自らの法益侵害に同意することをいう。
(2)それでは違法性阻却の根拠をいかに解すべきか。
(3)思うに、被害者の同意は社会的相当性判断の一資料として意味を持つから、諸般の事情を考慮して、同意を得た行為が社会的相当な行為であれば、違法性が阻却されると解すべきである(社会的相当性説)。
(4)よって、被害者の同意が違法性を阻却するためには、?被害者にとって同意可能な個人法益であること、?同意自体が有効であること、?同意が行為時に存在すること、?同意が外部的に表明されていること、?行為が被害者の同意があることを認識して行われたこと、?同意による行為が社会倫理規範に照らし是認されることを要する。
なお、?について、同意自体が有効であるためには、被害者に判断能力があり、真意に基づく同意でなければならない。よって、強制や錯誤に基づく同意は無効である。
刑法課題レポート 12
1.問題
被害者の同意について論ぜよ。
2.回答
1(1)35 条は「法令又は正当に業務による行為は、罰しない」と規定している。
(2)35 条は正当防衛(36 条)、緊急避難(37 条)以外の違法性阻却自由を規定したもので、この中に
被害者の同意が含まれる。
2(1)被害者の同意とは、法益主体である被害者が自らの法益侵害に同意することをいう。
(2)それでは違法性阻却の根拠をいかに解すべきか。
(3)思うに、被害者の同意は社会的相当性判断の一資料として意味を持つから、諸般の事情を考慮
して、同意を得た行為が社会的相当な行為であれば、違法性が阻却されると...