議員個人への民事上・刑事上の責任追及は認められるか。前提として、51条の趣旨が問題となる。
そもそも憲法が議員の免責特権を定めた趣旨は、主権者たる国民(前文1段、1条後段)の代表である国会議員に職務執行の自由を与えることで、国権の最高機関である国会(41条前段)において、行政権や司法権、さらには議会内多数派の議員から不当な干渉を受けることなく、自由な審議討論を通じて統一的な国家意思の形成を図ることを可能にする点にある。
そうであるならば、免責特権の及ぶ対象を広く解し、憲法が国会議員の免責特権を認めた趣旨を尊重する必要がある。
そこで、免責特権は、議員の議院内における言論活動に基づく院外での一切の責任を否定する絶対的なものであり、他人の名誉を毀損する発言についても免責特権の対象になると解する。
これに対して、免責特権の趣旨が上記のようなものであるとしても、結局それは国民の利益になるためのものであるという見地から、政策的に議員に認められた特権という理由によって一般国民の名誉・プライバシーを侵害するような発言が当然に適法になるということはできない、として一定の範囲で免責が制限されるという見解がある。
しかし、名誉・プライバシーの侵害にあたるかどうかの判断は必ずしも容易ではなく、かかる発言に免責が及ばないとすると、議員の発言に萎縮的効果が及ぶことは避けられず、憲法が免責特権を認めた趣旨を害することになってしまう。また、そのような発言をした議員については、議院の懲罰権(58条2項後段)に基づく自律的な責任追及や選挙による政治的な責任追及に委ねるべきである。
議院の免責特権(学説)
議員個人への民事上・刑事上の責任追及が認められるか
議員個人への民事上・刑事上の責任追及は認められるか。前提として、51条の趣旨が問題となる。
そもそも憲法が議員の免責特権を定めた趣旨は、主権者たる国民(前文1段、1条後段)の代表であ
る国会議員に職務執行の自由を与えることで、国権の最高機関である国会(41条前段)において、行
政権や司法権、さらには議会内多数派の議員から不当な干渉を受けることなく、自由な審議討論を通じ
て統一的な国家意思の形成を図ることを可能にする点にある。
そうであるならば、免責特権の及ぶ対象を広く解し、憲法が国会議員の免責特権を認めた趣旨を尊重
する必要がある。
そこで、免責特権は、議員の議院内における言論活動に基づく院外での一切の責任を否定する絶対的
なものであり、他人の名誉を毀損する発言についても免責特権の対象になると解する。
これに対して、免責特権の趣旨が上記のようなものであるとしても、結局それは国民の利益になるた
めのものであるという見地から、政策的に議員に認められた特権という理由によって一般国民の名誉・
プライバシーを...