1.「物権」とは
民法は総則に続き、物権について規定しています。物権とは、人が物を直接的かつ排他的に支配する権利をいいます。
直接性とは、権利の実現に他の者の行為を必要としないことをいいます。たとえば、所有権に基づいて土地を使用収益する場合、他人の協力がなければ使用収益が不可能ということはありません。
排他性とは、同一物に対する同一内の物権は両立しないことをいいます。ある物の所有権がAにありながら、Bの物であるということはないわけです。なお、物権の典型例は所有権なので、以下では所有権を中心にみていくことにします。
2.所有権の客体
所有権の客体となる対象を「物」といい、「物」とは有体物(固体・液体・気体)をいいます(85条)。
物は土地や建物といった不動産とそれ以外の動産とに分けられます(86条)。土地と建物はそれぞれ独立の不動産として扱われます。土地に生えている樹木(立木)は土地の一部として扱われます。
3.物権の種類
物権については、民法その他の法律に定められているもの以外は総説することができません(物権法定主義)。
物権が物を直接的かつ排他的に支配する権利であるということから、物権の類似を法定し、公示の徹底を図ろうとしたものです。民法上の物権としては、本権と占有権があります。
本権は、所有権(物権の中心的な存在)と制限物権に分類され、さらに制限物権は用益物権と担保物権に分かれます。まず、この構造をよく覚えておきましょう。
用益物権は、他人の物を使用することで利益をあげることのできる権利です。具体的には、地上権、永小作権、地役権、入会権がこれにあたります。
物権総論 基本事項のまとめレポート
POINT!
物権法分野(担保物権を除く)でとりわけ重要なのは、費用負担、物権変動、占有権の部分です。所有権・
用益物権はそれ自体単独で聞かれることはあまりありません。
1.「物権」とは
民法は総則に続き、物権について規定しています。物権とは、人が物を直接的かつ排他的に支配する権
利をいいます。
直接性とは、権利の実現に他の者の行為を必要としないことをいいます。たとえば、所有権に基づいて
土地を使用収益する場合、他人の協力がなければ使用収益が不可能ということはありません。
排他性とは、同一物に対する同一内の物権は両立しないことをいいます。ある物の所有権がAにありな
がら、Bの物であるということはないわけです。なお、物権の典型例は所有権なので、以下では所有権を
中心にみていくことにします。
2.所有権の客体
所有権の客体となる対象を「物」といい、「物」とは有体物(固体・液体・気体)をいいます(85条)。
物は土地や建物といった不動産とそれ以外の動産とに分けられます(86条)。土地と建物はそれぞれ独立
の不動産として扱われます。土地に生...