事例から民法を考える (法学教室ライブラリィ)の解答です。本書は、法学教室にて人気連載の事例シリーズのうち、民法を単行本化したものです。
このシリーズは、刑法、会社法、民法と好評であり、事例問題形式での民法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を網羅するとともに「考えさせられる」良問が揃っているため、現時点で,民法科目最高の問題集であります。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。特に,答案を書くにあたり,受験生が苦手とする「事実の評価部分」が充実していますので、司法試験対策には非常に有用な内容に仕上がっております。
そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
事例から民法を考える 22
第1 設問1 「300万円」の支払請求を拒めるか
1 連帯根保証人Cが死亡し、DEFが相続人
相続によって一切の権利義務を承継する(896条)ので、Cの負担していた債務も負担することになる。
本件では、DFが2011年3月6日に相続放棄をしているが、Cの死亡時2010年11月18日から3ヶ月以上経っており、熟慮期間(915条1項)を経過したとしてとして、相続放棄の効力は認められない。
2 では、DEFの負担額はどの程度か
(1)Bの死亡時の保証債務額は60万円。
しかし、保証人たる地位を相続していれば、保証人として支払うべき現在の保証債務300万を履行しなければならない。
そこで、相続される一切の権利義務にはCの「連帯根保証人」たる地位が含まれるかが問題となる。
(2)確かに、根保証は責任限度額の定めのないときは、その責任の範囲が広範で不確実であり、それゆえ保証人たる地位は、債権者との信頼関係を基盤とする属人的な性格があるといえる。
しかし、責任限度額の定めがあれば、責任の範囲が広範で不確実となるおそれはないといえ、保証人の属人的な...