事例から民法を考える (法学教室ライブラリィ)の解答です。本書は、法学教室にて人気連載の事例シリーズのうち、民法を単行本化したものです。
このシリーズは、刑法、会社法、民法と好評であり、事例問題形式での民法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を網羅するとともに「考えさせられる」良問が揃っているため、現時点で,民法科目最高の問題集であります。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。特に,答案を書くにあたり,受験生が苦手とする「事実の評価部分」が充実していますので、司法試験対策には非常に有用な内容に仕上がっております。
そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
問題10
設問1
1 G→E:保証債務の履行請求(446Ⅰ)
AG間で587OK、EG間契約OK、契約書があるため「書面」(446Ⅱ)OK
2 Eとしては、BやGからの説明で錯誤に陥ったことを理由に履行を拒む旨の反論が考えられる。
(1) Bの詐欺に基づく取消し(96Ⅱ)
保証契約における「第三者」BはEに対し「G内部での融資審査をパスするために形式上求められた」という虚偽の事実を伝え、よってEは錯誤、Bの故意OK
しかし、「相手方」Gがこのことを知らないから、×
(2) Gの詐欺に基づく取消し(96Ⅰ)
次に、GはEに「信用もあり返済もきちんとしている」旨述べている。
しかし、契約時においては、客観的事実に異なるとまではいえない。
欺罔×
(3) 錯誤無効(95本)
錯誤とは、表示と内心の不一致を表意者が認識していないこと。
本件では、Eは①ABの資力が今後も十分である旨、②保証が形式的なものに過ぎない旨誤信しているところ、これらは動機に錯誤。
動機の錯誤は「錯誤」に含める?
動機はあくまで内心の前提に過ぎず、「錯誤」×。もっとも、保護の必要性・第三者の...