事例から民法を考える (法学教室ライブラリィ)の解答です。本書は、法学教室にて人気連載の事例シリーズのうち、民法を単行本化したものです。
このシリーズは、刑法、会社法、民法と好評であり、事例問題形式での民法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を網羅するとともに「考えさせられる」良問が揃っているため、現時点で,民法科目最高の問題集であります。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。特に,答案を書くにあたり,受験生が苦手とする「事実の評価部分」が充実していますので、司法試験対策には非常に有用な内容に仕上がっております。
そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
事例から民法を考える5
第一 設問1
1.共有総論
(1)対内関係
① 単独の持分権確認
各共有者は、自己の共有持分が否認された場合、他の共有者に対して、単独で持分権の確認を求めることができる(判例 )。
② 単独の明渡請求
共有者各人は共有物全部を使用する権利を有しているため、他の共有者との協議に基づかないで、自己の持分に基づいて現に共有物を占有する共有者に対しても、他の共有者は当然には共有物の明渡請求をすることはできない(判例 )。
→ 持分権侵害を理由とする損害賠償請求等によるべき
CF.1 第三者が共有者一人の同意に基づいて目的物を占有・利用している場合、この占有は共有者の持分に基づく適法なものとなるため、その第三者に対して、当然には共有物返還請求をすることはできない。
2 共有者の一人が無断で目的物を占有・利用している場合、持分権に基づく妨害排除請求の一内容として、持分に応じた利用を阻害しないように請求できる。
③ 他方に対する妨害排除請求
ABが土地を共有している場合(持分は、Aが2/3、Bが1/3)、AがBに無断で土地を造成し、その形状を変更しようとしたときは、Bは、「右...