事例から民法を考える (法学教室ライブラリィ)の解答です。本書は、法学教室にて人気連載の事例シリーズのうち、民法を単行本化したものです。
このシリーズは、刑法、会社法、民法と好評であり、事例問題形式での民法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を網羅するとともに「考えさせられる」良問が揃っているため、現時点で,民法科目最高の問題集であります。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。特に,答案を書くにあたり,受験生が苦手とする「事実の評価部分」が充実していますので、司法試験対策には非常に有用な内容に仕上がっております。
そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
事例から民法を考える3
第一 設問1
1.A→E
・請求の趣旨:被告Eは、原告Aに対し、本件土地について、1981年8月時効取得を原因とする所有権移転登記手続をせよ、との判決を求める。(主位請求)
仮に主位請求が認められない場合には、被告Eは原告Aに対し、本件土地について、1987年5月6日の相続を新権原とする時効取得を原因とする所有権移転登記手続をせよ、との判決を求める(予備的請求)
・訴訟物:所有権に基づく妨害排除請求としての所有権移転登記手続請求
・請求原因事実(長期取得時効)
1-ⅰ.Bは、1981年8月、本件土地を占有していた。
1-ⅱ.Bは、1987年5月6日に死亡した。
1-ⅲ.原告AはBの子である。
2.Aは、現在本件土地を占有している。
3.AはEに対し、2010年9月4日、時効を援用するとの意思表示をした。
4.本件土地について、Eの所有権移転登記がある。
5.よって、AはEに対し、所有権に基づき、本件土地につき、1981年8月時効取得を原因とする所有権移転登記手続をすることを求める。
・Eの抗弁
時効取得による所有権に基づく所有権移転登記請求訴訟に対する被告の...