事例演習民事訴訟法 第3版(新版)の解答です。事例問題形式での民亊訴訟法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を網羅するとともに「考えさせられる」良問が揃っているため、民事訴訟法における最良の演習書であると考えます。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
第29問
●X→Yに対し本件貸金返還債務不存在確認の訴え
請求原因:本件貸金返還債務の存在について争いがあること
←本件貸金返還債務の発生原因事実(Yの抗弁)
→本件三者合意(Xの再抗弁)
①ZのXに対する委任事務処理費用500万円の支払債務の存在
②Yが①を引受けたこと
③XY間で訴訟外の相殺をしたこと、
●X→Zに対し委任契約に基づく500万円の代弁済請求(650Ⅱ)
請求原因:④XZ間委託契約、⑤Xの500万円の債務負担、⑥委任事務を処理するのに必要
←本件三者合意(Zの抗弁):①~③
←本件承諾特約(証拠制限契約)
←弁論の分離の申立て(職権発動を促すもの)
●裁判所の判断
本件貸金返還債務○、本件三者合意○、本件承諾特約○、弁論の分離×
1 裁判所の審理の問題点
(1) 債務不存在確認の訴え
XはYに対し、債務不存在の確認を求めている。
確認の訴えは、その対象が無限定に広がることを防止すべく、原告の権利または法的地位に不安・危険が現存しており、それを除去するために確認を求めることが有効適切な場合に限られるべきである(確認の利益)。
債務不存在確認の訴えにおい...