事例演習民事訴訟法 第3版(新版)の解答です。事例問題形式での民亊訴訟法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を網羅するとともに「考えさせられる」良問が揃っているため、民事訴訟法における最良の演習書であると考えます。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
第18問
1 通常共同訴訟における原則
(1)本件は、XのYに対する2つの売買代金支払請求訴訟と、XのZに対する2つの保証債務履行請求訴訟について、通常共同訴訟(38条)として併合提起されている。
通常共同訴訟は、個別訴訟が同一手続で審判されているにすぎないので、弁論主義のもと各共同訴訟人の意思を尊重すべきである。そのため、共同被告とされた者の各々の訴訟行為は、独立してすることができ、他の共同被告に影響を及ぼさない。(①共同訴訟人独立の原則39条)
(2)また、①からすると、共同訴訟人の他の一人が提出した証拠は、他の共同訴訟人が援用しない限り、他の共同訴訟人の訴訟資料とすることはできないともいえる。しかし、同一裁判所によって審理されている以上、自由心証主義のもとでは、一つの歴史的事実の心証は一つしかありえない。また、裁判の矛盾をできる限り回避すべく、事実の認定を統一する必要がある。
したがって、共同訴訟人の一人が提出し証拠は、他の共同訴訟人の援用がなくとも、その者の主張する事実の認定の証拠として用いることができると解する。(②証拠共通の原則)
(3)本件についてみると、YはXの...