事例演習民事訴訟法 第3版(新版)の解答です。事例問題形式での民亊訴訟法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を網羅するとともに「考えさせられる」良問が揃っているため、民事訴訟法における最良の演習書であると考えます。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
事例演習民事訴訟法12
1、訴訟物 賃貸借契約終了に基づく目的物返還請求権としての本件建物明渡請求権 1個
2、要件事実の整理
(1)請求原因(Xが証明責任を負う点)
①H17.7.1 XY 甲土地を期間10年、月額30万円、権利金200万円の約束で賃貸
②①に基づく明渡し(本問では具体的事実は不明)
③H24.1.10 YZ本件建物1階店舗の転貸借契約締結
④Zが③に基づく本件建物の引渡しを受け、使用収益(本問では具体的事実は不明)
⑤H24.2.28XのYに対する契約解除の意思表示
(2)抗弁(Yが証明責任を負う点)
ア、 承諾の抗弁事実
XがYZの共同経営について承諾の意思表示をしたこと
イ、信頼関係不破壊の評価根拠事実
無断転貸は原則として背信行為にあたるため、賃借人の側が信頼関係不破壊と言える特段の事情を主張する必要がある。そしてこれは規範的要件であるため、賃借人は信頼関係不破壊を基礎づける具体的事実についての証明責任を負う。
①Yは本件建物の建築費用の一部である300万円を負担している
②本件建物が毎年のように台風の被害を受け、そのつどYは修繕費用を...