会社法事例演習教材 第二版の解答です。問題は紛争解決編(第Ⅰ部)と紛争予防編(第Ⅱ部)に別れており、それぞれ12テーマずつ。会社法における最良の演習書であると考えます。
解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。 そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、充実した内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
Ⅰ―12 会社法総則の諸問題
設例12-1
(1)について
1 Cが、B個人に対し建材代金の支払いを請求するためには、代金債務がBに帰属していなければならない。
2 本問では、Bは「P株式会社支店長」と称している。しかし、Bの事業はPと別個独立に行われ、Pから指示や助言を受けていない。また、約束手形をBの資金で決済しており経済的にも独立している。そうすると、BはPの使用人ではなく、別個の帰属主体であるといえる。
したがって、代金債務は、B個人に帰属しており、CはBに対し建材代金の支払いを求めることができる。
(Q1⇒ Cが取引相手はPと信じており、名板貸責任が成立するとしても、連帯責任となるだけなのでBの個人責任が否定されるわけではない (9条))
(2)について
1 本問では、Bの事業が倒産状態にあり代金債権の回収の実効性に乏しい。そこで、Pに対して代金の支払いを求めることはできないか。
2 表見支配人(13条)の主張(Q2)
Bは、「P株式会社鳥取支店長」と称しており、それによってCが、BはP社鳥取支店の支配人であると信じて取引を開始している。そこで、Bが表見支配人であ...