会社法事例演習教材 第二版の解答です。問題は紛争解決編(第Ⅰ部)と紛争予防編(第Ⅱ部)に別れており、それぞれ12テーマずつ。会社法における最良の演習書であると考えます。
解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。 そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、充実した内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
Ⅰ―2 株主総会決議の瑕疵
設例2-1
(1)決議取消の提訴権
Q1 いかなる事実が取消事由になるか
株主EFGに対する招集通知がなされていなかったことが、299条1項に反しており、831条1項1号の取消事由に該当する。
Q2 Iは決議取消の提訴権を有するか
株主総会決議取消の訴えの原告適格を有する者は、株主、取締役、監査役または清算人に限られる。(831条1項)しかし、299条が招集通知を発することを要求した趣旨が個々の株主に株主総会への出席と準備の機会を与える点にあるとすると、831条1項1号の「株主
は、右機会を奪われた当該株主に限られるとも考えられる。
しかし、831条1項の文言がなんら限定しておらず、株主総会決議取消の訴えが法令定款を遵守した総会運営を求める集団的利益のための訴えであることに照らせば、原告適格を有する株主を限定するべきではない。
したがって、適法に招集通知をうけた株主Iも原告適格を有する
Q3 決議取消の訴えを提起した後に、所有する全ての株式を譲渡したEと譲受けたH
Eは、Hに対し株式を譲渡したため、株主ではなくなり原告たる地位を失った。したがって、訴え...