材料経験とは,実際に粘土や紙,絵の具,はさみや筆などの素材や用具を使って,材料の特性や表現効果を体験的に理解するものであり,指導者としてそれらを生かした題材化を図るための欠かせない学びの場でもある。ここでは,自分で経験した技法(デカルコマニーなど)を生かして一つの題材化を試み,その目的や内容を詳細に解説し,題材化を試みた経緯について述べよ。
1.図画工作科の目標とねらい
現在の児童たちの日常生活に目を向けてみると,便利なものであふれているが,使い方や遊び方が決まっており,工夫をする余地が無いものが多い。また,土や泥,砂遊びなど,手や体全体の感覚を使って,対象にかかわって遊ぶ体験もなく,日常において試行錯誤しながら発想を広げる機会が無くなっている。このような実態から,児童の造形活動が更に活発なものとなり,つくりだす喜びを味わわせるためには,豊かな発想を培うことが重要であり,数多くの発想をして活動を進めることで,豊かな発想を培うことができると考える。そのためには,造形遊びを積極的に行うことが有効である。材料を基にした造形遊びを通して,子どもが自発的,主体的に材料にかかわり,多くの試行錯誤を...