「アメリカにおいておし進められてきた「新自由主義」政策が「貧困大国」を生み出した事態について、災害、医療、教育、戦争という「人のいのち」にかかわる四つの領域のどれかひとつの領域を選んで、その実態を詳しくつかみ、重要なことを整理してみよ。」
「一度の病気で貧困層に転落する人々」では、国民の「いのち」に対する国の責任範囲を縮小し、「民間」に運営させることで取り返しのつかない「医療格差」を生み出していったアメリカの医療問題を描いている。
大企業が負担する保険料を減らすために、公的医療費が縮小された結果、保健外診療範囲が拡大したことで製薬会社等が儲かり始めた。
それは「医療改革」が、大企業を潤わせ経済を活性化するという政府の目的にそっていたかのように見えるというのである。
医療費が世界一高いアメリカでは、あまりにその高額な費用のために個人破産する国民が少なくないといわれている。
日本では盲腸の手術で4、5日入院しても30万円を超えることはないが、ニューヨークでは手術後、1日だけ入院しただけで243万円もかかってしまうのである。
また出産で入院すると、その費用の相場は1万5000ドル(約160万...