書評論文
森本敏「南アジアの軍備管理問題」『南アジアの安全保障』日本評論社2005年
目次
はじめに
1 本書の構成
2 本書の概説
3 書評
おわりに
注記
参考文献
はじめに
1990年以降、インド・中国などの新興国が国際社会の中で大きな影響力を持ち始めた。
経済的に目覚ましく発展したことが第一要因であるが、その経済力向上に伴う政治・文化面の強化が新興国としての存在力をより強固なものにした。中でも安全保障分野の強化は、国際安全保障を考える上で無視できない変化である。
インドはEUや中国、ソ連の中心に位置し、西洋・アフリカ・アジアを結ぶ貿易交通が盛んであることから、経済においては重要な地域である。一方で、パキスタンとのカシミール問題をはじめとする危険要素も複雑に絡み合っており、慎重な対応が求められている。何よりインドが核保有国であることは関心深い。核不拡散条約(NTP: Nuclear Non-Proliferation Treaty)に加盟していないにも関わらず世界的に容認されているということについては、今後国際社会はどのように対応していくのか注目すべきところである。
今回書評する...