取締役の法令遵守義務について az HC

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    資料紹介

    『取締役の法令遵守義務について』
                    
    株式会社には、取締役会設置会社と取締役会非設置会社とがある。前提としてこの二つには大きな地位の差があることに注意が必要である。取締役会設置会社における取締役は、会社の機関である取締役会の構成員の一人にすぎないが、これに対して、取締役会非設置会社における取締役は、会社の業務を執行し、原則として会社を代表することを任務とする、独任制の必要的機関である。348条1項は、取締役は会社の業務を執行するとしているが、取締役会設置会社を除く株式会社、としている。これは、取締役会非設置会社における取締役は会社の業務を執行する機関だということを意味すると共に、取締役会設置会社における取締役は会社の機関ではないという事をも意味している。
     また、取締役の選任・解任については株主総会の決議により選任する(329条1項)・いつでも株主総会の決議によって解任することができる(339条1項)。また、取締役と会社の関係は、取り締まる約が会社の実質的所有者である株主から会社の経営を委任されているという関係にある(330条)。委任とは、法律行為を成すことを相手に委託することをいう。株主総会は会社に代わり取締役を選任することによって委任契約が成立し、会社の業務に関する大幅な権限が取締役に与えられることとなる。
    以上の事を踏まえ、取締役の義務について見ていく。
    取締役は、内部情報を熟知し、権限を乱用・逸脱する可能性がある。しかし、仮に会社の内部規定で代表取締役の権限を制限しても、第三者との取引では、相手が悪意であること(時に過失または重過失があること)を証明しない限り、取引が無効だと会社が主張できないという解釈を採ることがほとんどである。また、会社が裁判で相手方の悪意の証明に成功することは非常に難しい。
    330条により、会社と取締役の関係は委任に関する規定に従う。
      <株式会社と役員等との関係>
    株式会社と役員及び監査法人との関係は、委任に関する規定に従う。
    よって取締役が職務を遂行するにあたっては、善管注意義務を負う。(民法644)
      <委任>
    委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
    また、この善管注意義務を具体化したものとして、法令及び定款の定め並びに総会の決議を遵守して会社のために忠実に職務を執行すべき義務(忠実義務)を負う。(会社法355条)
    <忠実義務>
    取締役は、法令及び定款の定め並びに総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
    この忠実義務というのは、取締役が会社の利益を害する事がないように、専ら会社の為に働きなさいという義務のことで、善管注意義務を具体的且つ注意的に規定したぐらいのものと言われている。例えば取締役はお互いに、それぞれの行為が法令や定款に従って適正になされているかを監視しあう義務を負っている
     善管注意義務と忠実義務の関係をいかに解すべきかが問題となる。これには同質説・異質説がある。
     大会社である取締役会設置会社では、取締役会は、取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制そのほか株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令(規100)で定める大勢(内部統合システム)の整備に関する事項を決定しなければならない(362条5項)内部統制システムの構築義務がある(362条4条6項・5条)。システムを構築した場合、それが十分に機能している会社では、

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    『取締役の法令遵守義務について』
                    
    株式会社には、取締役会設置会社と取締役会非設置会社とがある。前提としてこの二つには大きな地位の差があることに注意が必要である。取締役会設置会社における取締役は、会社の機関である取締役会の構成員の一人にすぎないが、これに対して、取締役会非設置会社における取締役は、会社の業務を執行し、原則として会社を代表することを任務とする、独任制の必要的機関である。348条1項は、取締役は会社の業務を執行するとしているが、取締役会設置会社を除く株式会社、としている。これは、取締役会非設置会社における取締役は会社の業務を執行する機関だということを意味すると共に、取締役会設置会社における取締役は会社の機関ではないという事をも意味している。
     また、取締役の選任・解任については株主総会の決議により選任する(329条1項)・いつでも株主総会の決議によって解任することができる(339条1項)。また、取締役と会社の関係は、取り締まる約が会社の実質的所有者である株主から会社の経営を委任されているという関係にある(330条)。委任とは、法律行為を成すこ...

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