子どもの「個人差」について述べよ。
Ⅰ.はじめに
子どもには個人差というものがある。学力や性格や予備的知識など、さまざまな違いがある。1クラス30名程度の人数であっても、知的能力の高低、特定の教科の出来不出来、あるいは性格の違いが顕著にあるからなのである。以下に子どもの個人差を、知能、性格、遺伝と環境、教育、発達の観点から捉え考察する。
Ⅱ.個人差に影響を与える要因
1.知能
知的行動には個人差があり、それぞれの子どもで特徴があることが認められている。知的行動の特徴は、それぞれの子どもが育てられてきている環境のあり方によって影響されるが、子ども自身の内部にある個人的要因によって、規定される。
この個人的要因を説明するために用いられるのが知能である。知能についての大きな定義は、ターマンによる抽象的な思考能力、ディアボーンによる学習能力、ウェクスラーによる新しい環境に適応する能力、に分けられる。
知能の構造がどのようなものであるかについて初めて知能検査を作成したビネーは、方向(問題を解決し終えるまで一定の方向に思考を保ち続ける能力)、理解(問題を解決するために物事の本質を理解し洞察する...