「基本的人権の尊重について述べよ。」
1,基本的人権成立の背景
基本的人権は、憲法成立以前に存在した「自然権」を、憲法が確認したものである。それは、人が生まれながらにして、たんに人間であることからもつ権利で、どのような政治的権力によっても侵されない「永久不可侵」の権利である。
18世紀末のヨーロッパにおいて、「絶対君主制」という「特定」の者による「圧制政治」が行なわれてきた。人びとは、これに対して不満を表出し、支配者の強大な権力を制限してきたという歴史がある。このような、人による統治ではなく、法による統治、つまり、国家は、成文憲法の下に民主政治によって、「立憲主義」の「近代法」を樹立させていったのである。
したがって、18・19世紀的な人権は、「身分社会(アンシャン・レジーム)」からの「精神の自由」と、「経済の自由」、「人身の自由」を確立した「自由権」中心の基本的人権の保障を指している。
そして、18世紀後半の産業革命以降、「近代国家」の誕生は、国民個々の「自由な経済活動」が保障されて、人びとへの国家の介入は減退し、阻止されていった。しかし、「レッセ・フェール(自由放任経済)」を基調...