家族の構造と機能について述べよ。
Ⅰ.家族とその機能
人間がこの世に生まれて死ぬまでの過程で、他の人間と関わりを持たずにいる事は困難なのである。つまり人間は他の人間と共に生きる社会的存在であるといえるだろう。
そして生まれて最初に出会う集団が、社会の最も基礎的な集団である家族ということになる。
家族の定義については、さまざまな議論がされてきた。日本において、これまで比較的広く用いられているのは、森岡清美による「家族とは、夫婦関係を中心として、親子、兄弟、近親者によって構成される、第一次的な幸福追求の集団」というとらえ方である。
これは小集団で構成される現代家族の構成面と、それが人間のもつ基本的な欲求を充足し、心身の安定と幸せの実現を図るうえで最も重要な役割を果たすという機能面の特徴をよく表している。
社会学においては、集団としての家族とその形態・機能、そこにおけるさまざまな諸相が研究のテーマとなってきた。とりわけ第2次世界大戦後の近代家族の変化から現代にいたる家族の変容・結婚・夫婦の役割分担についての意識の変化や高齢化に伴う介護の問題、家族に対する社会的制度についてなどが研究されている...