3.構音障害について
Ⅰ.障害像
構音器官は、口唇・頬・舌・下顎・軟口蓋・喉頭などから成る。構音運動はこうした複数の器官による時間的・空間的に極めて協調性に富んだ総合運動である。発語に関する上位ニューロンの中枢は、中心前回の下方に局在し、そこから発した神経繊維は皮質核路の一部として下降し、脳幹レベルで大部分が交叉して対側の三叉神経(第Ⅴ脳神経)、顔面神経(第Ⅶ脳神経)、舌咽神経(第Ⅸ脳神経)、迷走神経(第Ⅹ脳神経)、舌下神経(第ⅩⅡ脳神経)の脳神経核に達し、下位ニューロンとして末梢神経繊維が各器官に分布していく。構音運動に関しては、小脳、Brodmann第6野、大脳基底核や間脳の関与もあると考えられている。構音障害は、こうした器官の筋、それを支配する神経系の以上をきたして起こる広範な表出面の発声・発音障害の総称である。
Ⅱ.診断
構音障害は、構音筋の麻痺による麻痺性構音障害と、構音筋相互間の協調運動障害による協調運動障害性構音障害があり、協調運動障害性構音障害はさらに運動失調と錐体外路性に分けられる。
仮性球麻痺は、皮質核路の両側の障害、特に内包や放線冠の両側性病変で生じること...