糖尿病の評価と治療
Ⅰ.評価
1.糖尿病であるか否かを判定する検査
(1)問診
①現病歴
現在の症状,状態を聴取する.すでに糖尿病の治療を行っている場合はこれまでどのような治療を受けていたのか,その効果はどうであったかなどを聴取する.また発症した時期がはっきりしない場合は,もっとも体重のあった時期(年齢),急激に体重が減少し始めた時期を聴取することで罹患期間の推測が可能となる.
②既往歴
特に高血圧,動脈硬化症などは糖尿病合併症の発症・進展に深く関与することから,罹患期間について正確な情報を聴取する.また糖尿病性神経障害と手根間症候群,頚椎症,腰椎椎間板ヘルニアは鑑別が困難なことが多く,これらの疾患の存在については十分に調査する.
③生活習慣
仕事内容,運動週間,住環境,食事習慣などについて聴取する.
(2)尿糖検査
尿中のグルコース濃度・量を測定するものである.尿糖は血糖値が170mg/dlを超えると尿中に排泄されるが,個人差があるためこの値を超えても排出されないことや,逆に160 mg/dl以下であっても陽性となることもある.したがって尿糖検査は診断の手がかりとなるが,決め手...