1.マクロ的視点から
2002年第3四半期GDPは年率マイナス2.2%と、第2四半期の改定値マイナス4.8%に次ぐマイナス成長となった。これで、景気の加速度的悪化によって、雇用者所得の減少、消費が第2四半期は年率マイナス4.5%、第3四半期マイナス6.6%と悪化したためである。住宅投資、設備投資、公共投資等などがプラスであったことを打ち消してのマイナス成長であるが、今後は設備投資、住宅、公共投資が大きく減少する局面に入っていくため、さらなる下落は避けられないという。
今回の経済困難は以下の3点で、過去の不況とは決定的に異なり、深刻である。
第1は、企業収益の壊滅的悪化である。2001年度は全産業ではマイナス34%、製造業ではマイナス47%の大幅減益は避けられないが、2002年度もそれぞれマイナス20%、マイナス23.1%と減益基調からは抜け出せないという。生産の落ち込みが、非IT部門以外では、少なくとも2002年半ばまで続くこと、価格の低下効果が2002年度を通して続くことが要因である。
企業は聖域なきコスト削減、設備投資圧縮、リストラに迫られる。
第2に、銀行資本払底により、信用リスクが深刻化である。金融庁の厳格な査定もあり、銀行ももはや非効率企業の延命はできなくなる。製造業の収益悪化、古いビジネスモデルの破綻、不動産の需給悪化、さらなる地価下落は、銀行の不良債権をさらに拡大される。
第3に、海外要因がプラスに作用しないことが挙げられる。米国経済のV字型回復は不可能と考えられる上、中国の台頭で日本産業の空洞化、工場海外移転が急速に進展している。日本の世界貿易に占めるシェアが過去5年間急速に低下していることを軽視するべきではない。空洞化は、地方経済を直撃する。日本の地方経済は、(1)ライフライン産業(電力、運輸、流通)、(2)公務サービス、(3)建設業、(4)製造業生産拠点、(5)農業――などによって支えられているが、外から所得を稼ぐ(4)(5)がアジアとの競争で、完膚なきまでに打ち負かされているのである。
総合政策研究科
経営戦略論
レポート
日本経済再生への道と企業戦略
日本経済再生にむけて
1.マクロ的視点から
2002年第3四半期GDPは年率マイナス2.2%と、第2四半期の改定値マイナス4.8%に次ぐマイナス成長となった。これで、景気の加速度的悪化によって、雇用者所得の減少、消費が第2四半期は年率マイナス4.5%、第3四半期マイナス6.6%と悪化したためである。住宅投資、設備投資、公共投資等などがプラスであったことを打ち消してのマイナス成長であるが、今後は設備投資、住宅、公共投資が大きく減少する局面に入っていくため、さらなる下落は避けられないという。
今回の経済困難は以下の3点で、過去の不況とは決定的に異なり、深刻である。
第1は、企業収益の壊滅的悪化である。2001年度は全産業ではマイナス34%、製造業ではマイナス47%の大幅減益は避けられないが、2002年度もそれぞれマイナス20%、マイナス23.1%...