99年から2000年にかけての前回景気回復期は、「緩やかな成長にとどまる」といった事前の予想に反して、V字型回復となったが、今回も、生産や輸出、業況判断など多くの指標が、その99年を上回る急回復ぶりを見せている。例えば鉱工業生産指数のボトム(2001年11月)から直近(2002年5月)まで6カ月間の増加率は年率14.2%に達し、前回回復期のボトム(98年12月)以降6カ月間の伸び(年率5.1%)の約3倍である。同様に、輸出数量の伸びも約3倍であり、製造業所定外労働時間の伸びや業況判断指数(大企業製造業)に至ってはケタ違いの急回復となっている。
一方で、市場の関心はすでに、この回復がいつまで続くかに移っている。その理由は、言うまでもなく、今回の景気回復が前回以上に輸出依存という性格を強く持っているからであり、また輸出をめぐる環境がここへ来て不透明になってきているからである。
まず、景気回復の輸出依存ぶりは、1−3月期の実質経済成長率(前期比1.4%)の半分が輸出の寄与であったことが示されている。また、先述した生産の回復が、輸出が急増している電気機械(とりわけ半導体など生産財)によって専ら支えられていることも、輸出が独り景気を押し上げている実態を如実に物語っている。
輸出とは対照的に、前回回復期にもう一方の景気けん引役であった設備投資は、機械受注など先行指標に底入れの兆しが出てきているとはいえ、回復を展望できる状況には至っていない。過剰設備を抱えた電気機械産業の設備稼働率は歴史的低水準であり、仮に輸出や生産の回復が続いても、新たな設備投資に結びつくには時間がかかるという。
日本経済の現時点について
日本経済の現時点-アメリカの影響を考えながら-
99年から2000年にかけての前回景気回復期は、「緩やかな成長にとどまる」といった事前の予想に反して、V字型回復となったが、今回も、生産や輸出、業況判断など多くの指標が、その99年を上回る急回復ぶりを見せている。例えば鉱工業生産指数のボトム(2001年11月)から直近(2002年5月)まで6カ月間の増加率は年率14.2%に達し、前回回復期のボトム(98年12月)以降6カ月間の伸び(年率5.1%)の約3倍である。同様に、輸出数量の伸びも約3倍であり、製造業所定外労働時間の伸びや業況判断指数(大企業製造業)に至ってはケタ違いの急回復となっている。
一方で、市場の関心はすでに、この回復がいつまで続くかに移っている。その理由は、言うまでもなく、今回の景気回復が前回以上に輸出依存という性格を強く持っているからであり、また輸出をめぐる環境がここへ来て不透明になってきているからである。
まず、景気回復の輸出依存ぶりは、1-3月期の実質経済成長率(前期比1.4%)の半分が輸出の寄与であったことが示されている。また、先述した生産...