本文一部
1 Bは夫Cの承諾を得て、第三者提供の精子による人工授精を受けて、Aを出産した。AはCと似ていなかったために、Cはあまり愛情がわかなかった。このことが原因でB・Cは別居するにいたっている。この場合、CはAが自分の子ではないと争うことができるか。
2 B・C夫婦は、Fと代理母契約を結び、Cの精子を用いた人工授精により、Fに懐胎・出産してもらい、生まれた子Aを自分たちの嫡出子として届け出た。この届出は有効か。
3 2の説例で、Bの卵子とCの精子を用いた体外受精による子をFが買いたい・出産した場合はどうか。
小問1
1 本問では、Cが、Aは自分の子ではないと争うことができるかが問われている。ここで、嫡出性を争う場合には、Aが「推定される嫡出子」であれば嫡出否認の訴え(775条、774条、772条)、Aが「推定されない嫡出子」、もしくは、Aが「推定の及ばない子」であれば親子関係存否確認の訴えによって、それぞれすることとなっている。そこで、争うことができるかの前提として、Aの法的地位をどのように解すべきかが問題となる。
2 この点につき、Aは「推定されない嫡出子」ではない。なぜなら、「推定されない嫡出子」とは、772条1項2項によって夫の子と推定されない子のことをいうが、本問ではBC間の婚姻中にBが懐胎しているので、同条1項により夫の子と推定されるからである。
民事法総合演習Ⅳ(家族法)
本文一部
1 Bは夫Cの承諾を得て、第三者提供の精子による人工授精を受けて、Aを出産した。AはCと似ていなかったために、Cはあまり愛情がわかなかった。このことが原因でB・Cは別居するにいたっている。この場合、CはAが自分の子ではないと争うことができるか。
2 B・C夫婦は、Fと代理母契約を結び、Cの精子を用いた人工授精により、Fに懐胎・出産してもらい、生まれた子Aを自分たちの嫡出子として届け出た。この届出は有効か。
3 2の説例で、Bの卵子とCの精子を用いた体外受精による子をFが買いたい・出産した場合はどうか。
小問1
1 本問では、Cが、Aは自分の子ではないと争うことができるかが問われている。ここで、嫡出性を争う場合には、Aが「推定される嫡出子」であれば嫡出否認の訴え(775条、774条、772条)、Aが「推定されない嫡出子」、もしくは、Aが「推定の及ばない子」であれば親子関係存否確認の訴えによって、それぞれすることとなっている。そこで、争うことができるかの前提として、Aの法的地位をどのように解すべきかが問題となる。
2 この点につき、Aは「推定されない嫡...