連関資料 :: 放火罪
資料:5件
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放火罪
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一 Xの罪責について
1 本問において、Xは保険金を得る目的で、無人島にある自己の別荘を焼損させるため、Yを使って別荘に隣接するゴミ箱に放火したが、別荘の焼損には至らなかった。
以下、Xの罪責を明らかにするため、はじめにXの行為が放火罪のどの類型に該当するかを検討する。そして、放火罪における客体の一体性の問題、そして、放火罪の「焼損」の意義について検討する。
2 まず、無人島にある自己の別荘は放火罪のどの類型に該当するかを検討する。
現住建造物放火罪(108条)の客体は、「現に人の住居に使用し、または人の現在する建造物、汽車、電車、艦船、もしくは鉱坑」である。ここにいう「現に人の住居に使用し」とは、人が起臥寝食(日常生活)に使用する場所として日常使用されていることをいい、一時的な住居である別荘もこれに含まれると考えられる。
しかし、本問では、犯人Xは別荘の現住者かつ所有者であるため、現住者・所有者双方の同意のもとに行われた放火と同じ扱いとなる。すなわち、所有者以外の現住者がおらず、その者の同意を得ているから、放火罪における人の生命・身体に対する罪の側面、財産罪的側面を考慮する必要はなくなる。よって、自己所有の非現住建造物放火罪(109条2項)にあたるとも思われる。
だがこの点、Xの別荘には火災保険が付されており、Xはこのことを認識した上で、この保険金の騙取を目的としている。よって、115条により、自己の所有物であっても、保険に付している物である場合には、他人の所有物と同様に扱われ他人所有の非現住建造物放火罪(109条1項)の罪に問われるものと解する。なぜなら、自己所有の非現住建造物といえども、それを焼損することにより、他人の権利を侵害するからである。
これにより、Xの行為について、109条1項の他人所有の非現住建造物放火罪の成否が問題となる。
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