ガンに代表されるような悪性腫瘍は一度発生すれば自然治癒は全く考えられないものであり、発見が遅れると転移して他の臓器や骨などに播種するので、治療に至っては早期に行うことが必要なのである。治療法としては、外科療法(できるだけ転移しない時期にガン細胞を完全に摘除する方法)、放射線療法、薬物療法がある。これらの治療法の中で、近年薬物療法が盛んに研究され様々な治療薬が開発されているのでそのことについて報告する。
薬物療法の理論
悪性腫瘍の原因は今の所詳しく解明されておらず、ウイルス説、迷芽説、刺激説など考えられている程度である。しかしガンに関する研究において、ガンの発生はDNAの修復と非常に関連することが考えられるようになった。そこで抗ガン剤の理論として、悪性腫瘍細胞に作用し、DNAやその合成系の酵素、細胞中の蛋白質合成酵素を不活性化して抑制することが考えられ、それに見合ったものが考察されるに至ったのである。また、近年抗がん剤を多量に用いることで正常なDNAが損傷し、新たにがんが発生してしまう二次発ガンが問題になっている。
いろいろな抗ガン剤について
ここでは薬物の作用点の違いに着目し、開発された抗ガン剤について説明する。
◎DNAの複製 replication 阻止をする薬剤
ガンなどの腫瘍が増殖するには必ずDNAの複製がなされている。これを阻害するものとしてアルキル化剤が開発された。アルキル化剤は構造中に2個あるいはそれ以上のアルキル基を持っているもので、DNAやRNAのグアニン間、あるいは蛋白質とDNA間に橋状結合を形成し、DNAの複製やRNAの転写を阻害するのである。
◎DNAの合成阻害をする薬剤
悪性腫瘍細胞は細胞分裂といった核酸代謝が激しい。細胞が分裂するにはDNAの倍加が必要で、そのために細胞はDNAの合成を行うことになる。
構造化学特論レポート
「抗ガン剤について」
ガンに代表されるような悪性腫瘍は一度発生すれば自然治癒は全く考えられないものであり、発見が遅れると転移して他の臓器や骨などに播種するので、治療に至っては早期に行うことが必要なのである。治療法としては、外科療法(できるだけ転移しない時期にガン細胞を完全に摘除する方法)、放射線療法、薬物療法がある。これらの治療法の中で、近年薬物療法が盛んに研究され様々な治療薬が開発されているのでそのことについて報告する。
薬物療法の理論
悪性腫瘍の原因は今の所詳しく解明されておらず、ウイルス説、迷芽説、刺激説など考えられている程度である。しかしガンに関する...